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現場はすでに戦々恐々!
10月あなたの「マイナンバー」が届かない

このままでは住基ネットの二の舞になる
週刊現代 プロフィール

とはいえ、彼らは試験を勝ち抜いてきた誇り高きエリート官僚たち。その辞書に「間に合わない」「できない」はない。何とかして全国民分の通知カードを刷り上げるところまでは必死でやるだろうが、割を食うのはいつの時代も現場である。ある総務官僚が言う。

「通知カードは、全国の5200万世帯すべてに簡易書留で送る予定になっています。いっぺんにこれだけ大量の書留を配達するなんて、日本郵便にとってもまさに前代未聞。『明らかに人手が足りない』『内勤の職員まで配達に回らないといけないのではないか』と懸念の声が出ています。

そんな調子なので、簡易書留の代金は1通あたり310円ですが、マイナンバーの発送予算については日本郵便側が『割に合わない』と言って、本来の額より高い『言い値』で請求してきているそうです」

10月、郵便職員は文字通り日本中を駆けずり回ることになるだろう。しかし、いくら彼らが奮闘しようとも、カードを受け取れない人が膨大に出てくるのは間違いない。各地で「マイナンバー・パニック」の幕が上がる。

個人情報だから「転送不要」

まず、言うまでもなく、簡易書留を受け取るには、本人の印鑑やサインが必要だ。たまたま家を空けていて通知カードを受け取れなかった場合、1週間以内に郵便局へ取りに行くか、都合のいい日時を郵便局に伝えればもう一度配達される。だが、何もしなかった場合、カードは自治体へ送り返されてしまう。そこから先どうするかは、いまだ「検討中」だという。

「住民票のある場所に一家の誰も住んでいなかったり、全く別の人が住んでいるというときも、同じく自治体にカードが戻ってきます。その後自治体の側で新しい住所を改めて確認し、送り直すということになっています」(内閣官房マイナンバー担当部署職員)

最大の問題は、番号通知カードは必ず「今、その人の住民票があるところ」に送られてくるということだ。

普通の郵便物なら、たとえ引っ越しをしてすぐに住民票を移さなくとも、郵便局に新しい住所を知らせておけば転送してもらえる。しかし、この通知カードには氏名・住所・生年月日などなど、個人情報が盛りだくさんなので「転送不要」扱いとなる。つまり、待っていても新しい住所にはなかなか送られてこない。

また、住民票を移さないまま転々と引っ越しを重ねている人も少なくない。自治体側からは消息をたどれず、どこに住んでいるか確認できない人が大勢出てくるはずだ。

こんなケースも多発するだろう。東京で一人暮らしをしている息子が、住民票を実家から移していないと、実家に息子のマイナンバー通知カードが送られてくる。その場合、自分たちで息子に通知カードを転送しなければならない。

「結局は、実家から本人へ送り直す手間があちこちでかかるということです。子供に対していちいち書留で送るというのも変な話ですから、普通郵便で送られて、郵便受けに入れっぱなしなんてことになれば、紛失したり、通知カードごと盗まれたりするかもしれない」(前出・総務官僚)