なんとなくでVCから資金調達は絶対にしちゃダメ!
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(TEXT 高宮慎一)

僕は、スタートアップの成長を支援する、ベンチャーキャピタル(VC)というオシゴトをしています。スタートアップに投資をして資金を供給し、投資した後は社外役員の形などで経営面もがっつり支援しています。

(誤解を恐れずに言うと)

よくスタートアップに投資する前にあえてネガティブな言い方をして、「VCからのファイナンスは、“悪魔との契約”だ」と言って、“経営者の腹落ち度”を確認したりします。

イメージは人気コミック『ARMS』のあのシーン…

「力が欲しいか?」

です。

”悪魔との契約”の意味

どういうことかと言うと、VCからの資金調達は、現在のステージの身の丈に合わない大型の資金がどうしても欲しいとき、資金面以外でも経験豊富なアドバイザーに参画して欲しいときの、奥の手、ニトロ注入みたいなものだと思うんです。そういう意味で言うと、数多くあるファイナンスの手法の中でも、特殊なケースにのみうまくハマる、非常にイレギュラーなものと言うこともできます。なので、VCからファイナンスできることが良い事業の定義ではないし、VCからファイナンスできない、すべきでない、良い事業なんて山ほどあると思っています。

VCからの調達を考えるようなステージのスタートアップだと、通常売上、利益はまだまだ立ち上がっていなくて、銀行からのデット(貸付)はつかない、かと言ってオーガニックな(事業で稼ぐ)キャッシュフローだと、ちょぼちょぼ過ぎて事業に投資するスピードが全然あがらない。でも、市場が大きくてめちゃ成長してとか、競争が激しくってスピードを持って面を押さえないと競合にやられるみたいなときに使う奥の手なんだと思うんですよね。

一方で、起業家は失うものもあり、VCというビジネスは、「そもそもそういう仕組だ、仕方がない」というレベルで、お金を入れる代わりに株式、いわばその会社の“カラダの一部”をもらいます。(この辺りはこちら『ベンチャーのExit戦略については、起業家は最初から理解しておいたほうがいいかも』

VCも、ファンドを作るにあたり背後にいる投資家のお金をお預かりしていて、ファンド満期時(通常10年程度)にそれにリターンをつけてお返ししなきゃいけないんです。だから、投資先のスタートアップを株主として、社外役員/アドバイザーとしてがっつりサポートしますが、いつかは“Exit”(※)をすることが必須になります。

※株主が、株式を売却する機会という意味で“Exit = 出口”という言葉が使われています。通常だと、上場やM&Aなどがそれにあたります。でも、あくまでも、“Exit”って、株主目線の言葉で、会社にとっては手段となるイベントなので、僕はあまり“Exit”という言葉が好きじゃないんですが…。

つまり、いつかは“カラダの一部”を持って、いなくなる存在なのです。