現代新書
「イスラム国」というモンスターはなぜ生まれたのか
【プロローグ公開】菅原 出=著『「イスラム国」と「恐怖の輸出」』
イスラム国の宗教的な「顔」バグダーディー [photo] gettyimages

テロの拡散は制御不能? もはや状況を収めるプレイヤーは存在しないのか? 「敵」となった日本人に必要な自衛策とは? 情報・危機管理のエキスパートが書いた『「イスラム国」と「恐怖の輸出」』のプロローグを公開!


プロローグ 終わりなきテロの時代に

「輸出」されるISモデル

過激派組織「イスラム国(IS)」がカリフ国家樹立を宣言してから1年が経過した。この間、米軍を中心とする国際有志連合軍は、イラクとシリアのISに対して6000回以上の空爆を実施し、ISの戦闘員1万人以上を殺害したと伝えられているが、ISの勢いは止まる気配がない。

各国がシリアへの渡航規制を強化しているにもかかわらず、毎月2000名以上の若者たちがシリアに渡り、その多くがISに加わっていると報告されている。「これだけ多くの外国人がひとつの戦場に集まるのは過去に前例がない」と米政府高官はこぼす。

アメリカのオバマ政権は、国際テロ組織アルカイダを弱体化させたのと同じテロ対策の手法を実施しているが、ISはすでに伝統的なテロ組織の範疇を超え、一定の領域を1年以上も統治し続ける「国家」のような存在になっている。このため従来のテロ対策が通用しないのが現実だ。

一方で中東、アフリカ地域を見れば、国家の統治能力が弱まり、中央政府の管理の行き届かない「無統治空間」とでも呼ぶエリアが広がり、そうした地域にISモデルが「輸出」される現象が起きている。

いまやISは、イラクとシリアの直接支配地域だけでなく、リビア、エジプト、アルジェリア、ナイジェリア、イエメン、サウジアラビア、アフガニスタンなどに傘下組織を抱え、これらの国々でテロ活動を展開している。

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