東芝「粉飾」決算問題が浮き彫りにした
大手マスコミの「粉飾」体質

『週刊現代』「官々愕々」より
〔PHOTO〕gettyimages

東芝の粉飾問題「報道の粉飾」

東芝の「粉飾」決算問題。マスコミの報道の「甘さ」には、ほとほと呆れ果てた。

まず、各新聞やテレビ局のニュースの見出し。マスコミは当初から、会社側の言う通りに「不適切会計」という言葉を使った。「不適切会計」の中には、故意である「不正」と過失による「誤謬」がある。第三者委員会の報告書は、東芝に気を遣って、「不正」だけでなく、「誤謬」もあったとして、「不適切」という言葉を使った。しかし、「不適切」と言うと、「不正」とは違うように見えるし、まして、「粉飾」ではないというニュアンスになる。

歴代3人の社長が事実上不正会計を部下に要求して1500億円もの利益を水増し。それがバレて株価が下がり、株主に大損害を与え、日本株式市場への世界の信頼を大きく傷つけた。にもかかわらず、マスコミ各社は、第三者委の委員長が会見で事実上「不正」を認めるまで、「不正」という言葉を使わなかった。読売、日経などは21日の会見後の見出しでも「不適切」会計という言葉を使った。「粉飾」という見出しはもちろんどこも使わなかった。

それにしても、事業部に対して、「こんな数字恥ずかしくて公表できない」「ありとあらゆる手段を使って黒字化を」「現法の連中を全員解雇して全面撤退する」などと脅迫まがいの発言で利益水増しを要求したのに、「(不正会計を)要求した認識はない」と言う歴代社長の言葉を尊重するなど「甘い」にも程がある。

第三者委員会の報告書を読めば、佐々木則夫元社長と田中久雄前社長は、水増しを黙認したことがわかる。これでは「粉飾」と言われても仕方ない。

マスコミには、他にも甘い点がある。当初問題が報じられてからこれまで、東芝経営陣は誰も責任をとらなかったが、マスコミは経営責任を強く追及してこなかった。

さらに、歴代経営陣の刑事責任についても、元検察の弁護士のコメントなどを使って、今回の事件では「責任を追及するのは難しい」という相場観作りまでしている。誰のために仕事をしているのだろうか。

こうなるのには理由がある。

まず、マスコミの大スポンサー「東芝様」への気遣いだ。テレビ局では、経済部や営業から泣きが入り、厳しい批判は封印された。

もう一つ。東芝の歴代社長経験者は、自民党政府の重要ポストに就いている。彼らへの批判は自民党にも打撃になる。安倍自民に支配されたマスコミは、ここにも遠慮してしまった。

実は、この期に及んでもまだ大手紙などで詳報されていない爆弾が二つある。東芝が'06年に買収した米原発大手ウェスチングハウスののれん代(ブランド価値など)の償却問題だ。原発の事業環境悪化による事業価値減少で、買収金額6000億円のうち3000億円弱とも言われるのれん代が特別損失になる可能性がある。さらに、経営状況悪化により、巨額の繰延税金資産が否定される可能性もある。そうなれば、東芝の財務は危機的状態に陥る。

しかし、大手メディアはそれらを伝えない。いつになったら、「東芝、倒産の危機か?」という記事を書けるような自立したマスコミになれるのだろうか。

『週刊現代』2015年8月8日号より 

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