雑誌 ドクターZ
米国の「利上げ」は世界経済にどんな影響を与えるか
「利上げ不安」を煽る経済評論家にご用心
〔PHOTO〕gettyimages

ギリシャ問題と利上げショック

経済評論家の力量をチェックする「リトマス紙」

米国が「年内利上げ」に傾きつつある。しかし、新興国からマネーが大量流出するのでは、その結果、新興国経済は大打撃を受けるのでは、などと「利上げショック」を懸念する声も多い。

利上げは世界経済にどのような影響を与えるのか。

まず、国際金融問題については、そのメカニズムをきちんと理解するのが先決だ。巷にはさもわかったように解説するコメンテーターが多いが、そうした人の力量をチェックするためには、米国利上げなどの国際金融問題は絶好のリトマス紙になる。

例えば、ギリシャ問題で、ギリシャはユーロから離脱すべきではないという人が、同時に米国の「利上げショック」を主張していたら――実は、これは矛盾している。

その理由はこうだ。米国が利上げすると、新興国からマネーが大量流出するというのは、新興国がドル為替を維持しようとする場合、つまり新興国通貨をドルにペッグ(連動)している場合に限る。

為替は二国間の通貨の交換比率であるが、二国間の通貨量の比に収斂しやすい。米国の利上げは、通貨量を減少させることになるが、その結果、ドル為替を新興国が維持しようとすれば、同じように新興国の通貨量を減少させる。それが、新興国からの資金流出に見えるだけだ。

逆にいえば、新興国でも変動相場制の国では、そうならない。そうした国の場合、米国は金融引き締めなので、自国通貨の対ドル相場は安くなる。