7月スタートの連ドラ総まとめ
月9史上最悪のスタートを切った『恋仲』に期待!

『天皇の料理番』HPより

恋愛ドラマに執着し続けてきたテレビ業界

3ヵ月前、4月スタートの連続ドラマの初回が終わった時点で、本コラムではベスト作品として『天皇の料理番』(TBS)を挙げた(参照: http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/43125)。終わってみると、全12話の平均視聴率は14.9%で、今年の連ドラで一番の成功作となった。

競馬記者や株式アナリストではないので、予想と結果が一致したことを誇示するつもりは毛頭ない。逆に、部外者に過ぎない筆者が、それぞれの連ドラの第1話を見たくらいで、大勢が占えてしまうことに問題を感じる。誰が見るのか分からないような連ドラが多過ぎるのではないか。制作者側の思惑と視聴者マインドに隔たりを感じてしまう。

本コラムは連載が始まった3年前から、「恋愛ドラマが多過ぎる」と繰り返し指摘してきた。20代、30代の結婚願望が薄らぎ、異性への関心がまるでない若者すら増えているというのに、ドラマ界は恋愛にこだわり過ぎていた。若者たちの恋愛ドラマが当たらなくなると、今度は四半世紀前の世界からW浅野を呼び戻し、50代の恋愛ドラマまで作ってしまった。恋愛ドラマに執着していたとさえ言えるだろう。

トレンディドラマの強烈な成功体験が忘れられなかったためだと思うが、大流行のピークからは既に約25年も経過している。その間、街の景色もファッションの流行も随分と変わった。ドラマ界だけが時代の移り変わりを座視していたような気がする。

「半沢直樹」はどこがすごかったか

銀行界を舞台にした『半沢直樹』(TBS)が2年前に大成功すると、ようやく恋愛ドラマの量産に歯止めがかかり、代わりに台頭してきたのがお仕事ドラマだが、その中にも首を傾げたくなる作品が少なくない。視聴者がドラマで見たいのは人間たちの姿であるはずだが、職業マニュアルに過ぎないような作品まである。仕事について知りたいのなら、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)を見ればいいのであり、それはドラマの役割ではないだろう。

そもそも『半沢直樹』は単なるお仕事ドラマではなかった。視聴者が引き付けられたのは、主人公・半沢直樹(堺雅人)をはじめとした登場人物たちの描き方が精緻で、その人間模様が面白かったからに違いない。極めて質の高いヒューマンドラマだったと思う。

恋愛ドラマ、お仕事ドラマを問わず、つまらない作品は登場人物たちの描き方が平板で画一的だ。人間たちの描き方が浅薄。たとえば、悪玉は救いようもないワルで、善玉はどこまでも正義の味方。脇役たちも将棋の駒のようで、見た目と言動がパターン化。生身の人間は複雑なのだが、不出来な作品の登場人物たちは単純過ぎる。これでは見る側が作品に引き込まれない。

しかし、『半沢直樹』は違った。半沢は正義の味方のように見えて、実際には犯罪に近い手段まで使って上司を追い詰めた。本当はチョイ悪なのである。そもそも上司の命令に抗い続けるのだから、ビジネスマン失格の輩かもしれない。また、仕事ではイケイケなのに家庭では妻(上戸彩)に頭が上がらない。情に流される面もある。だからこそ、人間臭く、見る側は引き付けられたに違いない。