イラン核協議の最終合意は核拡散時代の再来をもたらすのか?

Vol.065 インテリジェンス・レポートより
核保有の合意を喜ぶイランの人々〔PHOTO〕gettyimages

「イラン核開発に関する最終合意」

【事実関係】
7月14日、オーストリアの首都ウィーンで行われていたイランと6ヵ国(米英仏独中露)の外相会合で、イランの核開発問題をめぐる最終合意が得られた。

【コメント】
1.―(1)
7月14日、オーストリアの首都ウィーンで行われていたイランと6ヵ国(米英仏独中露)の外相会合で、イランの核開発問題をめぐる最終合意が得られた。

1.―(2)
翌15日、米国のオバマ大統領はホワイトハウスでの記者会見において、<イラン核協議の最終合意は「米国の強力な指導力と外交を象徴するものだ」と指摘した。大統領は、「合意がなければ中東を戦争と、他国による核開発計画の追求、核兵器開発競争の危険にさらした」と述べ、改めて合意の意義を強調した。>(7月16日 産経ニュースより)。

2.―(1)
「13年にわたる懸案が解決した」と米国は成果を強調するが、事態はそれほど楽観できない。

2.―(2)
現在、イランは約1万9000基のウラン濃縮のための遠心分離器を持っている。今回の合意で、それが全廃されることにはならない。10年後もイランには6104基の遠心分離器が残る。また、地下にある核開発工場も研究機関として存続することになった。偵察衛星では、地下研究所で密かに核開発が行われていても、その事実を知ることができない。(略)

2.―(3)
(2)の朝日新聞の記事でも言及されているが、今回の合意があれば、イランは1年で広島型原爆を製造することができることを米国も認識している。これは米国のイランに対する大幅な譲歩だ。

3.―(2)
イランはしばらくの間、合意を遵守するが、IAEAの目を誤魔化すことはそれほど難しくないと考えている。

3.―(3)
また、イランでは保守派やイスラム原理者だけでなく民主派や親欧米派も「イランは核兵器を保有すべきである」と考えている。イランは中東では珍しく民主的選挙が行われている国だ。イラン政府は民意が核開発を望んでいるという事実を最大限に活用して、今後も密かに核開発を進めていくことになる。……(以下、略)

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」(2015年7月22日配信)より