読書人の雑誌『本』
日本人の「お買い物」はどう変わってきたか
百貨店、通販、商店街、スーパー、コンビニ……
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札幌での暮らしと小売流通の「いま」

(文・満薗勇)

札幌のお買い物事情

北海道大学に教員の職を得て、早くも1年余りが過ぎた。

千葉県に生まれ、首都圏で暮らし続けてきた私にとって、札幌での新しい暮らしは、新鮮な驚きに満ちたものであった。

雪が降っても誰も傘をささないとか、凍った雪道でジョギングしている人がいるとか、ベビーカーの代わりに子どもを橇に乗せて歩くとか、お花見でみんなジンギスカンのバーベキューをするとか、タンポポが異様にニョキニョキ長く伸びるとか、毛ガニが800円で買えるとか、イクラの醤油漬けを自分の家で作るとか、「カジカ」「ごっこ」など聞いたこともなかった美味しいお魚がいっぱいあるとか……。

札幌での住まいは、「電車に乗りたくない」という私のわがままを聞き入れてもらい、歩いて職場まで15分、札幌駅まで20分のマンションとなった。これも首都圏の家賃相場なら絶対に住めないような好立地である。赴任に際して、「北海道なら車がないとね」などと、多くの人に言われたけれども、この立地なら、日々の暮らしにそれほど車の必要を感じることもない。

そのようなわけで、夫婦ともども、運転免許証という名の金色の身分証を携えながら、日々の買い物には、歩いて出かけることが多い。

家から一番近いスーパーは、「株式会社東光ストア」(1972年創業)が展開する、「ディナーベル」という小型の24時間スーパーである。近隣に学生が多いため、一人暮らし用に小分けにされた肉や魚が並んでいるが、ファミリー向けには少し使いにくいので、我が家では、忘れたものを買い足すときに利用することが多い。

15分ほど歩くと、「株式会社ラルズ」(1961年に前身の「株式会社ダイマルスーパー」設立)が展開する、「ビッグハウス」という少し大きめのスーパーにたどり着く。品揃えも良く、生鮮品も一通り揃うが、ここへ来ると、今、某人面機関車にハマっている息子(3歳)は、入り口に置かれたガチャガチャ(カプセル自販機)から離れようとしない。

そこからさらに20分くらい歩くと、JR北海道の100%出資企業「株式会社北海道ジェイ・アール・フレッシュネス・リテール」(1999年設立)が展開する、「ジェイ・アール生鮮市場」という名前のスーパーがある。ここは、とにかく魚介類の品揃えが豊富で値段も安い。我が家で北海道の豊かな食文化を満喫できるのは、このスーパーによるところが大きい。ウォーキングがてらここへ買い物に行くのが、休日の日課であり、また愉しみでもある。しかし、雪の時期はちょっとつらい……。