「キューバにとって葉巻は外貨獲得の手段であり、重要な外交ツールでもあります」

第9回ゲスト:カルロス川島さん (後編)
島地 勝彦 プロフィール

アメリカとの国交回復で、少しずつ変わる街

島地 そのキューバとアメリカの国交回復が進んでいるけど、現地に変化はありますか?

カルロス 国交正常化に向けて交渉を始めると発表されたのが去年の12月。そうはいっても、国交断絶したのはわずか54年前で、当時を知る人がまだたくさんいるわけです。感情的に許せない部分も多いはずで、交渉には時間がかかると思ってました。

日野 でも、ニュースがあるたびに話が進み、最近は「もう時間の問題」という雰囲気になっています。大使館の開設も決まったとか。

カルロス そう! 展開が予想外に早い。早すぎる。やがてはそうなるとしても、いきなりすぎるのは困るんです。こっちは15年かけてコツコツと、大使館や葉巻製造の関係者とコネクションをつくってきたのに、いきなり巨大資本にやってこられたら、おまんまの食い上げです。

島地 でもまあ、日本人で最も強いコネクションを持っていることに変わりはないわけだから、そんなに心配することもないでしょう。カルロスの仕事より、こっちはハバナの街がどう変わるのかが心配です。カストロが生きている間は、アメリカ資本がどっと入って、急激に変わることはないと思いますが。

カルロス 今年の2月に行ったとき、ちょっとした変化は感じましたね。社会主義国ですからレストランもカフェも国営で、以前は勝手に店を出すヤツなんていませんでした。ところが海沿いの通りを歩くと、昼間からゴロゴロしていたような連中が、軒先にテーブルを出して、コーヒーやらパンやらを並べて売ってたんですよ。あれはちょっとショックで、「こりゃ意外に早く変わるかも」と。

シマジが惚れた、フィデル・カストロの男気

島地 でも考えてみれば、海を隔てた向こうには資本主義の権化のような国が見えているというのに、よく半世紀以上も社会主義を維持してきましたよね。

カルロス ラテン系の、のんびりした気性もありますが、やはりフィデルのカリスマ性が大きいと思いますね。

島地 カストロは現地の新聞に連載を持っていたんですが、通訳に頼んで訳してもらったことがあります。これがじつにおもしろい。本にしたらある程度は売れると思いますね。

カルロス 元100万部雑誌の名物編集長がいうんだから、間違いないでしょう。