中国経済はこの先どう動く!?
日本の経済史から考えられる二つのシナリオ

〔PHOTO〕gettyimages

中国株だけが暴落し続ける可能性は低下した

中国当局の株価対策もあり、中国株の大暴落は沈静化しつつある。ただし、他の株式市場と比較すると1日のボラティリティ(価格変動性)はかなり高く、中国株市場の不安定な状況はしばらく続きそうだ。

今回の中国の株式市場暴落の直接の原因は、信用取引の規制にあったようだ。すなわち、当局が株価の高騰を抑えるために、信用取引に関わる融資の規制を行ったことが、「流動性」を収縮させ、株価の暴落につながったと考えられる。これは、株式の「需要」に対する規制を意味する。

一方、その後の株価暴落に対する対策は、個別銘柄の売買停止(ピークでは中国本土に上場されている全銘柄の49%が売買停止になった)が中心であった。これは、当局が株価の暴落を抑えるために、株式の「売り」を規制しようとする試みであった。これは、株式の「供給」に対する規制を意味する。

このように、中国の株式市場は、株式に対する需要も供給も当局の規制下に入ったため、「市場機能を失ってしまった」との非難もある。確かに、これは、「市場関係者」からみるとゆゆしき事態だが、それによって、「暴落の世界的な連鎖」という最悪の事態は避けられたという側面も否定できず、リスク管理としては一定の成果を上げたようにもみえる。

以上は、今回の中国株の大暴落を短期的な現象面から考えたものだが、より中長期的にみれば、これは、「一般的な意味でのバブル崩壊」ではなかったと考える。「一般的な意味でのバブル崩壊」とは、何らかの要因で将来の中国経済に対する過大な成長期待が生じた結果、現在の中国経済の実力水準と比較して、株価が著しく上昇し、それがクラッシュすることを意味する。

「一般的な意味でのバブル」の代表例は、80年代末の日本や2000年の米国(特にナスダック)だが、両方とも、PER(株価収益率)が他の市場と比較して突出して上昇した点に特徴があった。だが、今回の暴落直前の中国株式市場のPERは他国と比べてもそれほど乖離していなかった。90年代半ば以降、世界の株式市場間でPERの平準化が進んできたが、中国市場もその例外ではない。そういう意味では、今回の中国株の暴落は単純に「バブルの崩壊」とはいえない。

グローバルの平均的なPERの水準がどのように決まるのかは、不明な点が多く、また、研究自体も多くはないため、さらなるリサーチが必要だ。しかし、冷静に考えてみれば、PERの水準が世界水準に収斂するという動きが機能する限りは、中国株だけが一方的に暴落し続けるという可能性は低下したと考えられる(ただし、これは中国株が底値圏で、今が絶好の買い場であることを意味しない点には注意が必要である)。

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