【戦後70年特別企画】
元零戦搭乗員たちが見つめ続けた「己」と「戦争」【前編】

『零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争』著・神立尚紀インタビュー

「残された時間のなかで」
~ゼロファイターへの取材 20年の軌跡~

1940年の採用当時、世界最高の能力を備え、無敵を誇った日本海軍の名戦闘機「零戦」。その栄光と悲劇を、神立尚紀氏は1995年から20年間、取材しつづけてきた。それは「残された時間」との闘いでもあった。高齢化する元搭乗員たちの貴重な証言から著作を紡ぎあげたその軌跡を、神立氏が語る。

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―神立さんはいつごろから零戦に関心を持たれていたんですか?

私が子どものころの1960年代後半から70年代半ばというのは、周りに戦争体験者って少なくなかったんですね。向こう三軒両隣を見れば必ず誰かいた。「徐州会戦に行った」とか「鉄兜に弾が当たった」なんて会話が路地から聞こえてくるような時代です。私の伯父も陸軍の爆撃機パイロットでした。

漫画雑誌にも零戦ブームがあってちばてつやの『紫電改のタカ』とか、『ゼロ戦行進曲』(貝塚ひろし)、『0戦はやと』(辻なおき)、『あかつき戦闘隊』(相良俊輔原作、園田光慶作画)など、私が小学生のころには連載が終わっていたものが多かったんですが、コミックで読んだ記憶があります。

『あかつき戦闘隊』といえば、「週刊少年サンデー」(小学館)に連載されていたんですが、読者懸賞でなんと日本の海軍兵学校の制服、短剣やナチスの軍服なんかを賞品にしちゃったんですよね(笑)。それで抗議が殺到したという事件があって、たぶんこれをきっかけに戦記漫画がなくなっていったように思います。