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「明日の食費がない」「子育ては苦しみばかり」【ルポ】シングルマザーの貧困
フライデー

「なぜ産んだんだ」と責められ

可純さんはバレー部に所属する、アイドル好きの活発な女の子だった。この4日前には、彼女の通う中学校で運動会があり、可純さんは応援団の一員だった。母親は、娘が応援団で使用したハチマキを使って、首を絞めたという。

「なぜ誰も救いの手を差し伸べなかったのか。千葉県の県営住宅の場合、生活困窮者であれば最大で家賃を月2560円にまで下げることが可能なんですが、自治体はそれを、母親から相談がなかったために説明しなかったのです。

また、母親は’13年の4月に一度、生活保護の受給の可否を市役所に問い合わせているのですが、『面会記録票』を見る限りでは、市の担当者が母親の話をまともに取り合っていなかったと思われます。生活保護が受けられていれば、あるいは家賃の減額制度を知っていれば、娘を手にかけるようなことはなかったはずです」(「千葉県生活と健康を守る会連合会」妹尾七重会長)

この一件だけではない。’13年5月には大阪市北区のマンションで28歳の母親と3歳の息子が餓死しているのが発見された。預金残高は数十円だった。また、’14年3月にはJR新大阪駅で、生活に困窮していた母親が1歳の女児を置き去りにするという事件も起きている。

前出の藤田氏は、こうした痛ましい事件をなくすためにも、母子家庭の支援制度をもっと充実させる必要があると言う。

「貧困対策の制度はある程度用意されていますが、それを利用するハードルは非常に高い。財政難から、生活保護の申請を出来るだけ受け付けないようにしようという自治体も増えています。たとえば福祉事務所の窓口に相談に行っても『なんで離婚したの』『もう少し働けるでしょ』などと責められることがある。

また、安倍政権発足以降、生活保護の支給額が従来より低く見直される傾向にあります。そもそも『もう限界だ』という状態だから相談に来ているのに、そこで追い返されれば途方に暮れるしかなくなります。シングルマザーは、社会の中でも特に立場の弱い人たちです。その人たちに救いの手を伸ばさない世の中でいいのか、と疑問に思います」