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「明日の食費がない」「子育ては苦しみばかり」【ルポ】シングルマザーの貧困
フライデー

「シングルマザーの経済状況は、危機的なものになっています。なかには生きることすら困難になっている人もいる」

こう指摘するのは、60年以上にわたり母子家庭を支援してきた公益団体「ひとり親Tokyo」の髙田伊久子会長だ。

「昔は離婚して女ひとりで子供を育てることになっても、家族の支援があったり、安定した雇用があったのでなんとかなった。ところが核家族化と雇用の非正規化が進んだことや、元夫も非正規雇用で収入が少なく、慰謝料・養育費をもらえないというケースが増えたため、シングルマザーの貧困が深刻化しました。実際にうちに相談に来る人は、月収10万円以下で生活している女性が中心で、家賃が払えずに『3000円だけでいいので、貸してください』と懇願する人もいます」

東京の郊外に生後9ヵ月の娘と住む甲本由香さん(仮名、20代)は、出産直後に夫と口論することが多くなり離婚。それまで住んでいた夫の実家を追い出され、途方に暮れた経験を語る。

「仕事も辞めていて収入がなかったので、娘の出産祝いで食いつなぎました。手持ちのおカネが1万円を切って、これはもうダメかもしれないと思ったこともありました」

「学校の教材が買えない」

「とにかく、子供のためにおカネをかけられないのがつらい」と苦しい生活状況を明かすのは、埼玉県在住のシングルマザー・芦田絵美さん(仮名、30代)だ。

買い物をする時には「安くて、お腹にたまるもの」を中心に選ぶ。メニューは偏りがちだ

「県営住宅に住んでいるので家賃は3万円ですが、生活に余裕はありません。食材は100円以下のものを中心に買い揃え、主食はうどんやパスタです。米は高いのでほとんど買えません。なるべく味の濃い調味料を使って、子供たちの空腹感をごまかすようにしています。うどんなら、揚げ玉をたくさんのせる、とか。

一番苦しいのが、子供が学校で使う教材などの費用です。下の子供が小学校に入学するときに、2000円もする算数セットや、12色入りのマジックペン(1200円)を買わなければならなかったり……。ほとんど使わない鍵盤ハーモニカが、なぜ5000円もするんだろうとか、そんなことを考えるのがイヤですね(苦笑)。上の子供が高学年で野球が好きなんですが『中学校に行っても、野球部はダメだよ』と言ってます。ユニフォームや用具を揃えるのに、10万円はかかるから、とても手が出ません」

一時期は住むところにも困っていた甲本さんと芦田さんは、生活保護を受けることでかろうじて生活を立て直したが、母子家庭支援NPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子氏によると、支援制度の存在を知らない女性も少なくないという。

「インターネットを使う環境がないために、生活保護制度や支援団体を調べられないという女性がいます。役所の申請には、所得証明や戸籍謄本など証明書類も必要ですが、書類を揃えるのが大変で結果的に支援を諦めるという人もいるのです。また、地域社会に知られたくない、車保有が認められないなどの理由で生活保護を受けないという場合もある。実際、生活保護を受けているシングルマザーは、全体の14%程度でしかありません」