雑誌
次はドイツが痛い目にあう 
ギリシャ・ショック「欧州の盟主」の大失敗

ギリシャのチプラス首相が強気なのにはワケがあった〔PHOTO〕gettyimages


巨額を失う

「メルケルはバカ」

ギリシャ・ショックに揺れる欧州でいま、ドイツのメルケル首相への批判の声が高まっている。中には「バカ」と直接的に中傷する欧米メディアも出てきているのだが、いったいなぜか。

一つには、メルケル首相が、ギリシャ問題がここまでこじれる原因を作った戦犯だとみなされているから。在アテネジャーナリストの有馬めぐむ氏が指摘する。

「6月30日のIMF(国際通貨基金)への資金返済期限が迫るタイミングで、メルケル首相が主導するEU(欧州連合)サイドはギリシャに過酷な改革案を提示してきました。そこにはギリシャ経済の要である観光産業に関して、ホテルの宿泊税を大幅に引き上げるように求める内容が含まれていたようで、とても呑めるものではなかった。

それまでギリシャはEU側との交渉妥結を目指していたのに、この強硬姿勢に激怒した。ここからギリシャ・ショックが勃発。国民投票で『NO』を突きつける事態に発展していったのです」

EUでメルケル批判が渦巻いているのはそれだけが理由ではない。

実はギリシャがユーロ離脱ということになれば、一番のダメージを被るのはドイツである。それなのにギリシャを追い詰めてしまった「メルケル首相の管理能力のなさ」(EUメディア)に、欧州全体があきれ返っている。以下、欧州系証券会社アナリストの解説。

「ユーロの恩恵を最も受けてきたのは、ドイツにほかなりません。なぜならユーロはギリシャなどの弱小国家も参加する共通通貨であるため、ドイツにとっては単独通貨を持つよりも『割安』な通貨として利用できる。ドイツの自動車メーカーなどの業績が絶好調なのは、この割安通貨を利用できているのが大きい。つまり、ドイツが失業率の低い経済優等生とされてきたのも、経済好調でメルケル首相が首相に居座り続けられるのも、ユーロのおかげなのです」

逆説的な話だが、問題国ギリシャがユーロから離脱してしまえば、ユーロはより強い通貨となってしまい、ドイツにとっては「割安通貨の旨み」を失うことになる。それはドイツ経済に、根幹を揺るがすほどのインパクトをもたらしかねない。それなのにメルケル首相は何をやっているんだ、と批判が噴出しているわけだ。

在ドイツジャーナリストの熊谷徹氏も言う。

「これまでEUやECB(欧州中央銀行)はギリシャに2100億ユーロほど(約30兆円)を融資していますが、その原資をもっとも多く拠出しているのはドイツです。

ギリシャがデフォルトしてユーロ圏から離脱した場合、ドイツは最大900億ユーロ近くの損害を被るという試算が出ている。これは'14年のドイツ連邦政府の予算額の約3割に相当する巨額です。ギリシャのデフォルトは致命的なほどに、ドイツの納税者を直撃するのです」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら