玉音放送を聞いて、私は泣いた
ジャーナリスト田原総一朗、戦争体験を語る(2)

田原総一朗さん(81歳)。太平洋戦争が始まった時、小学1年生だった

 (←第1回はこちら)

戦時中の学校教育、天皇という存在、戦況の悪化、そして玉音放送……敗戦の日、小学5年生だった田原さんはどんなことを思ったか?――

(聞き手:堀 潤)

「天皇陛下は神様だ」という教育

――当時の学校生活というのは、1限が始まって終了するまでどのような時間割で進んでいくんですか。

それは国語とか算数とかあるわけだけど……。国語の本も算数の本も、それから小学校5年になると社会、歴史の本も、まずその本を開くときにおしりを叩くわけ。

それから、非常に印象に残っているのは、卒業式、入学式、終業式、あるいは祝日なんかの式があると、必ず講堂の正面に天皇の写真(御真影)が置いてあって、その御真影の顔を見ると目がつぶれるから見るなって言われていた。こっそり見ましたけどね、目はつぶれなかった。御真影があったことは非常によく覚えていますね。

それで、おしりを叩いて授業が始まる。だけど、だんだん戦争が始まると、その授業の中に、いかに日本が素晴らしい国かということがいっぱい入ってきました。

――どんなことが入ってくるんですか?

例えば、日本というのは天皇陛下が神様だと。現人神(あらひとがみ)だと。それで僕は、神武天皇から歴代の天皇を暗記しましたよ。神武、綏靖、安寧、懿徳、孝安、孝霊、孝昭、……ね、暗記した。

――今でもしっかり覚えてらっしゃる。

しっかりでもないけどね。忘れましたけども。

それから「教育勅語」も暗記した。「父母ニ孝ニ 兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ 修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ 一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無 窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」

――当時の子供たちはその内容を理解して覚えたものなんですか。それともある種の暗記もののリズムのようにして覚えるのか。

内容を覚えます。まず「君に忠意」ですよね。要するに、天皇に忠意を尽くす。で、「父母(おや)ニ孝(こう)ニ」ですよ。つづけて兄弟をちゃんと愛し、友達たちと仲良くしよう。それで「一旦緩急あれば」「義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」。いったん緩急あれば、戦争に参加して国のために戦って、皇運、天皇家をいかに大事にして栄えさせるかと、こういうことですね。

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