【沿線革命051】新国立競技場の問題とダブって見える東京圏の鉄道計画

阿部 等

東京都が次に押す14路線

「整備について検討すべき路線」として、原則として目標への寄与度がB評価以上でかつ現答申に位置付けのある路線と、3指標ともA評価の都心部・臨海地域地下鉄構想と、都心部・品川地下鉄構想を抽出した。

東京都が次に押す14路線


東京都として次に押すと決したわけで、都の考え方として交通政策審議会に提示し、次期答申にて位置付けるように求めていくこととなる。

新国立競技場の問題に国民は気づいた

さる7月7日に、2020年東京五輪及び2019年ラグビーワールドカップにて使われる予定の新国立競技場が、有識者会議にて建設費2,520億円とされて以降、多くの国民から反対意見が噴出した。

私もそれ以降、調べてみて驚いた。

2012(平成24)年11月に、建設費1,300億円を前提とした国際コンペによりザハ・ハディド提案が選定されたのだが、建築の専門的視点で冷静に見るなら、もっと多額となることは明白だった。

コスト面以外で、著名な建築家である槇文彦氏が「濃密な歴史を持つ風致地区になぜこのような巨大な施設をつくらなければならないのか」と問題提起し、建築家の間では一定の賛同を集めたものの、ザハ提案を見直すほどの影響力は持てなかった。

また、建築エコノミストの森山高至氏は、コンペの実施手順の不透明さやザハ氏の過去の提案の問題点も含めて早い段階から問題提起していた。

ブログにて、2013(平成25)年10月21日から綴り始め、2014(平成26)年1月6日「新国立競技場の工事費が下がらない理由」(http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11744493834.html)では、提案の問題点を実に分かりやすく解説していた。

ザハ提案は、地上に長大橋を建設する土木工事と同じで、かつ資材を船で運べる水上でもなく、どう工夫しても、誰が設計・施工しても莫大な経費が掛かるのだ。そんな提案が選定されたこと自体がそもそも誤りだった上に、関係者がその過ちを改むるのをはばかり続けた。

ところが、森山氏の極めて適切な指摘は社会全体の関心を集められず、ザハ提案を見直す動きは生み出せなかった。

流れが大きく変わったきっかけは、7月7日のあまりに理不尽な決定である。マスコミの論調は、「ずさん」「あぜん」「無責任」「もはや見直すしかない」と一斉に批判一色となった。

多くの国民が関心を持ち、大半がザハ提案に反対だ。国民は、専門的な知見を踏まえた事実関係を知り、計画の誤りに気付いたのだ。

そして、政府は、キールアーチの取り止めを含め、工事内容を抜本的に見直す方向で調整に入った。私は、正しい道に改められれば日本の未来は明るく、改められなければ残念ながら暗いと考えていたのだが、前者となりうれしい限りだ。