世界経済 EU
EUはいずれギリシャのデフォルトを呑まざるを得ない---ギリシャ問題を総括する
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ギリシャとEUの"交渉ゲーム"は今後も続く

結局、ギリシャの債務問題は「先送り」に終りそうだ。与党である急進左派連合(SYRIZA)に若干の造反者が出そうだが、野党の支持によって、EUが提示した緊縮財政案が議会で承認される見通しである。今回のギリシャショックも、終わってみれば、これまで同様、ギリシャとEU諸国の「債務繰り延べゲーム」の繰り返しにすぎなかった。

今回の騒動では、多くのエコノミストや市場関係者が、ギリシャのユーロ離脱の確率は70~80%程度まで上昇した、との見方がコンセンサスになっていたが、筆者はそれとは異なる立場だった。

筆者はかねてより、

1) 最終的にはギリシャ債務問題は「先送り」される
2) ギリシャのユーロ離脱はない
3) よって、ギリシャショックはマーケットにとっては「ノイズ」に過ぎない

と考えていたので、今回の顛末自体にそれほど大きなサプライズはなかった(これについては、7月2日拙稿「EUはこのままギリシャを見放して本当にいいのか?」で言及した)。そして、基本的には、この"交渉ゲーム"は今後も続いていくと考えている。

必要なのは「大胆な金融緩和(量的緩和)」と「通貨安」

ところで、ギリシャは、日本円に換算して11兆7,000億円にも上る追加融資を受ける代わりに、緊縮財政を法制化し遵守するという、より厳しい要求を呑まされた。だが、現在のギリシャの経済情勢を考えると、今回の緊縮策をRigidに守ったところで、財政再建が達成できるとは考えにくい。

現在のギリシャは典型的な「デフレ不況」の真っただ中にある。2014年のギリシャの実質GDP成長率は前年比+0.7%と、2008年以降続いてきたマイナス成長から脱しつつはあるが、同年の失業率は26.4%、インフレ率(消費者物価指数)は前年比-1.0%である(いずれもOECD調べ)。インフレ率と失業率の関係を示す「フィリップス曲線」を描いてみると、これは典型的な「デフレ不況」の局面に当たる(これは、矢野浩一駒澤大学准教授の指摘による)。