「サラブレッドはかっこいいが、野ねずみの方が強い」私はこの言葉を、技術屋として胸に秘めてきました。
横河電機 西島剛志社長

世界に冠たる「プロセスオートメーション」の企業だ。横河電機。たとえば石油の精製、鉄鋼の生産から、食品、医薬品の製造までを扱う。様々な物質が変化しながら製品になっていく生産工程を制御するシステムを構築している。従業員は約2万名、海外売上比率も急激に伸ばしており、現在は約70%に達するなど、創業100年を迎えた今も順調な成長を続けている。社長は現場生え抜きの苦労人・西島剛志氏(57歳)だ。

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にしじま・たかし/'57年、神奈川県生まれ。'81年に東京都立大学(現・首都大学東京)理学部を卒業し、北辰電機製作所(現・横河電機)へ入社。'10年に横河メータ&インスツルメンツ社長へ就任し、その後、横河電機取締役常務執行役員、IAプラットフォーム事業本部長などを経て'13年から現職

自動化

弊社の仕事を表す時、「センサーから経営管理まで」という言葉を使うことがあります。たとえば原油(ドロドロしていたり、ロウのように固まっていたりする)を灯油やガソリンに精製する場合、原油をどれくらいトッパー(蒸留装置)に入れ、何度に熱し、どのタイミングで蒸気を送り込むかなどは、センサーと制御システムで管理し、自動化します。

しかし現在はIT革命の時代です。いつ、どんな最終製品がほしいか入力すれば、先に説明した精製の工程だけでなく、原料の購買から出荷までの業務も自動化できますよね。それどころか、(企業間のコンピューターをつなげば)サプライチェーン(原料の供給から製品を出荷した後までの)全体を管理できます。すると、集められたデータを使い、将来の出荷予測もできるなど、お客様の経営管理にまで寄与できるのです。

矜持

弊社の役割は重大です。工場によっては何万点もある弁やセンサーがすべて、365日、24時間、正確に働いて当たり前。しかも機械だから、いつかは摩耗などで劣化するため、毎日の点検やメンテナンスが欠かせません。さらには、何らかのイレギュラーでシステムをシャットダウンすると、大規模なプラントの場合、一日で何億円単位の損害が出る場合もあります。

しかし、それでも我々は必死で、自動化に挑戦します。なぜなら、最適なエネルギー量で、スペックがよりよい製品を作ることで低コスト化がはかれ、これにより、皆さまからは見えなくとも、電力から食品まで、暮らしに直結した製品が低コスト、高品質になっていくからです。