都会で自分をすり減らして働くみんなへ。
共生革命家・ソーヤー海より5つの提案

2015.7.23 THU

共生革命家・ソーヤー海。
肩書きや名前、その風貌からチェ・ゲバラやトム・ソーヤーを連想し、なんだかわくわくしてしまう。人を惹きつける個人は、発する言葉や行動自体が一つの"メッセージでありメディア"になる。そんな思いを抱いて、「メディア化する個人」として、すぐに思い浮かんだソーヤー海さんに会いに行った。

ソーヤー海さんは東京を中心に、自然、人、都会の豊かな関係性をデザインする「東京アーバンパーマカルチャー(TUP)」を主宰している。9.11をきっかけに平和活動に目覚め、大学やコスタリカのジャングル生活、中南米の旅などを通じて、「パーマカルチャー」や「非暴力(共感)コミュニケーション」、「マインドフルネス(禅)」などを座学と実践で学び、活動してきた海さん。その10年後、3.11をきっかけに日本に戻ってきて「東京アーバンマーマカルチャー」を創設。ワークショップやアクションを通じて、社会や暮らしに対する人々の意識を変え、都会から愛のある柔らかな革命を起こそうとしている。

3.11以降、貨幣経済中心の社会に疑問を感じ、持続可能な暮らしと仕事、人とのつながりを求める人たちも少なくないはず。地方に移住することだけがその解ではなく、海さんが10年以上培ってきた、いや、何百年も昔からあるパーマカルチャーを都会で実践することにヒントがあるかもしれない。アーバンパーマカルチャーって何?共生革命家ってどういう生き方?さわやかな笑顔と素敵なアフロでCOMMUNE 246に現れた優しい革命家は語り始めた。(文・徳瑠里香/写真・岡村隆広)

パーマカルチャーって何?

パーマカルチャーは、1970年代半ばオーストラリアの小さな島で生まれた「Permanent(永続的な)」と「Agriculture(農業)」、そして「Culture (文化)」をかけ合わせた造語で、持続可能な文化・生活・社会のシステムをデザインすること。

一言でいうと「生態系にもとづく持続可能な関係性のデザイン」。地球環境や社会を持続可能なものにするために、植物も動物も人も、地球のみんなを生かしあう関係性をつくっていくこと、っていってもわかんないかな?

まあ、難しく考えないで、お百姓さんをイメージしてほしい。種を植えて、水をあげて、収穫して…生きるために必要なものを自然の恵みを生かして自分たちで育てる。シンプルなの。みんなで作業をするとそこに関係性ができるから文化が生まれる。生活のDIYであり、文化のDIYなんだよ。

つまり、みんながより自然に、愛されて豊かに生きていくことで、楽しく地球を再生すること。アメリカ・ポートランドをはじめ世界中で、田舎を中心に展開されてきたパーマカルチャーをアーバン(都会)で実践する「アーバンパーマカルチャー」も盛り上がってるよ。

都会から、みんなが愛されて豊かになる
「新しい生き方のデザイン」

都会のみんなは、要素の世界に生きてるよね。たとえば、ここCOMMUNE 246では食べ物を買って、食べて、捨てて、そこで終わり。でも、それは一部であって現実じゃないんだよ。食事をして出たゴミは収集場に運ばれて、石油とかエネルギーをつかって燃やされていくわけじゃない。そこまでの全体のシステムが見えていない。

昨日もちょうどここでモバイルファームをつくるワークショップを実施したんだよね。参加者が廃材で移動式プランターをつくるもの。たとえば、そのプランターの土に生ごみを埋めれば肥料になる。その肥料で野菜やハーブを育てて料理に使うこともできるよね。その移動式プランターを日が当たり、雨が降ってくる場所に置けば、誰かが水をあげなくてもいいし。パーマカルチャーの目標のひとつは「収穫を増やして、仕事を減らすこと」なの。ごみ収集場は、システムが複雑化して、仕事を増やしているよね。

アーバンパーマカルチャーは、太陽の動き、風や水の流れ、プランターにかかわる人の流れ・・・自分がいる場所で全体の流れを見て、循環する仕組みをシンプルにデザインすること。生態系を理解して、自分が求めてくるものが豊富に集まってくるように、道筋をつくる。江戸時代に戻りましょう、というわけでなく、昔からある知恵を使って、新しい時代を創作していくこと。みんなが愛されて豊かに生きることをゴールに未来をつくっていくことなんだ。

僕はアーバンパーマカルチャーを、都会からはじめる「新しい生き方のデザイン」だと思っている。

アーバンパーマカルチャー
5つのキーワード

僕が東京で実践している「アーバンパーマカルチャー」の5つのキーワードとその手法の例を紹介するね。これは、アーバンパーマカルチャーの本『都会からはじまる新しい生き方のデザイン』にも収録しているから、より詳しく知りたい人はチェックしてみてね。

1、Edible 自分たちの身近なところに種を植えて、育てて、食べる。
食べられる植物を庭に植える「エディブルガーデン」や家庭から出る生ゴミをミミズや微生物によって栄養たっぷりの土に変える「コンポスト」など、自然の恵みをえて、自分たちの食べるものを自分たちでつくる。これは生きる力につながるよね。アメリカのサンクルーズの、ホームレスを支援するため学生やシリコンバレーで働いている人たちがボランティアで、街で有機農業をする「コミュニティガーデン」も好きだったなあ。

シアトルに住む友人・Daveとゆうこのコミュニティーガーデン

2、DIY  自分たちの暮らしは自分たちでつくる。消費者から、創造者へ。
僕もジャングル生活時代はなんでもDIYしてた。家の壁だって砂や馬糞、牛糞、粘土、藁、小麦粉、水をひたすら混ぜてつくれるし、手作りのピザ窯でピザを焼いたら楽しいし、電力だって自分たちでつくれるんだよ。文化のDIYもみんなとしていきたい!

コスタリカのジャングルで生活していたときの小屋。住む場所だってDIYできる。

3、Edge 2つのものが重なり合う境界にこそ、可能性がある。
一言でいえば、新しい可能性の場。スキマとかグレーゾーンといったほうがわかりやすいかな?たとえば、アメリカ・ポートランドで盛り上がった「シティリペア」。交通事故をきっかけに、人が行き交う交差点を取り戻そうよ、と市民が交差点をジャックしてペンキで絵を描いたんだよ。絵が描いてあると、車も自然とゆっくり走ったりしてさ。道路は公共な場ではあるんだけど、そこに「ゲリラガーデニング」といって植物を植えたりしてね。プライベートな場とパブリックな場のエッジだね。

ポートランドのシティリペア

4、Gift  与え合いで成り立つ、豊かな経済
いまの僕の生活は基本的に「ギフト」で成り立っている。ワークショップはドネーション(寄付)制をとっていて、決まった参加費はなくて、払う義務もない。お金じゃなくてもいい。ブログを手伝ってくれる人もいるし、野菜やお米をくれる人もいる。自分にできることを与え合ってギフトエコノミーを実践すると、自然とギフトが集まってくるんだよね。アーバンパーマカルチャーの本『都会からはじまる新しい生き方のデザイン』もギフトで成り立っている。編集者やデザイナー、カメラマンなど思いに共感してくれた20人以上の仲間たちが集まって、本が出来たんだ。

本を作ってくれた仲間たち

5、Stop  いま、ここ、自分に、立ち止まる。
都会のみんなはビジネスに忙しくて"busy-ness"になっているよね。考える暇もなくすごいスピードで物事が進んでいくから。忙しい毎日のなかで、呼吸をただ意識する瞬間をつくってみる。それがマインドフルネスの第一歩。いま、自分の心を観察する。立ち止まることで、見えなかったものがクリアに見えてくると思うよ。

原宿で行ったゲリラ瞑想

この5つのキーワードを自分の生活のなかに取り入れて実践して、講座を開いてみんなに伝えて広げていくことが「共生革命家」として僕がやっていること。

やっていることは「意識の革命」
意識がすべてのはじまりだと思うから

僕はあらゆるものをパーマカルチャーとして伝えているから、経済も農業も生態学も含まれるんだけど、社会を変えていくために一番重要なのは人間関係だと思ってる。農場でも会社でも、みんなが悩んでいるのは人間関係。家族のもめごとも、国同士の戦争も人間関係からはじまってるわけじゃん。

そこを変えたい。みんなが恐れからじゃなくて、愛とか思いやりから動ける社会にね。まずは、それを自分が体現する必要があるよね。自己共感して、人に共感して、今と心とつながる。ただつながればいいわけじゃなくて、繋がりの質が重要。生態系の一部であるという認識を持って、人間関係に意識をむけて、自分と人を癒していく。みんないろんな傷を抱えて生きているから、共感で癒していかないとね。

みんな評価の世界で生きているけど、それは恐れにつながる可能性を高めるよね。いい評価を求めて頑張って、いい評価が得られないと落ち込む。非暴力コミュニケーションは評価を超えた世界だから、良いも悪いもないんだよ。「 間違った行いと正しい行いを超えた所に野原が広がっています。そこで遭いましょう。」ルーミという詩人のこの言葉が好き。みんな感情があって、求めているものがあって、ありのままでいい。ありのままの自分を受け入れて、一瞬一瞬、自分とつながる。迷ったら、立ち止まって共感してみてほしい。

自分が生態系の一部であるという意識。いまここで生きるという意識。自分や人に共感するという意識。僕がやっていることは、「意識の革命」なの。意識がすべてのはじまりだと思うから。意識が変わらないと表面的なものになってしまうから、結果よりも過程を大事にしてる。

社会にはいろんなルールがあるけど、ルールを変えていかないと社会は変わらないから、僕は無責任に許可を出す。ゲリラガーデニングやってもいいんだよ、この人と共感してもいいんだよ、自分を大事にしてもいいんだよって。本当は許可を出せるのは自分でしかないんだけどね。

メディアはリアリティーを作るもの、
うちらの未来がかかっている

僕が伝えていることに新しいことはほとんどない。パーマカルチャーの生態系も禅も贈与経済も昔から当たり前にみんながやってきたことだから。江戸時代とかまさにアーバンパーマカルチャー。有機農法とかも本当に素敵なんだけど、大変でダサいイメージがある。いまの都会の人が見ている世界や意識とかけ離れすぎちゃっているのね。だから、僕はわかりやすく、通訳している。楽しさを一番上に置いて、遊び心を持って、共感の輪を広げていく。 ゴールはビジネスをすることじゃなくて、社会が変わることだから。そんな感じで不真面目に真面目な活動をしてる。

いかにみんなが入ってきやすい入口を作るか。ファンキーで派手な実験とかやって楽しんでさ。みんなの好奇心を引き寄せて、深い伝統のある"生きる知恵"を伝えていきたい。

それはメディアじゃないかって? そうかもしれないね。ワークショップをやったり、ブログを書いたり、本をつくったり、こうやって語ったり・・・昔からある"生きる知恵"を現代の人たちに通訳して伝える、という意味では自分自身がメディアだよね。いかにみんなに伝わる表現で、大事なことを伝えていくか。みんなが大事にされる社会をつくるために、どんな表現方法でも、そのためのプロジェクトを楽しみながらやっていくよ。

おまけ。アフロから坊主へ

このアフロ? これは天然でちょうど1年くらい伸ばしたんだ。冬は優れた断熱材として活かしている。もうすぐ坊主にするよ。僕は1年に1回、夏に坊主にして、あとはそのまま伸ばすだけ。 そもそも髪の毛を切るのにお金を払うというコンセプトがよくわからない。みんな髪の毛にかけるお金すごいよね。僕はバリカン買ったくらいだよ。アフロだと目印になってよく声かけられるんだけど、坊主にしたとたんみんなわからなくなっちゃうみたいだね(笑)。

ソーヤー海
共生革命家。1983年、東京生まれ、新潟、ハワイ、大阪育ち。9/11直後からカリフォルニア大学サンタクルーズ校で反戦運動に励み、有機農業や持続可能な生き方について勉強と実践に没頭する 。同大学で持続可能な社会をテーマとしたプログラムを運営しながら、大学の在り方を変える活動を学生と繰り広げる。2007年にコスタリカのジャングルに移住し、パーマカルチャーの実践を始める。その後、ニカラグアやキューバでパーマカルチャーの知識を深めて、米国のブロックス・パーマカルチャー・ホームステッドで二年間研修生生活を送り、パーマカルチャーを軸とした暮らしを生きるようになる。3.11を機に、日本へ帰国して東京で平和活動をする事を決める。「共生」に関わる活動しながら、東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナビリティ学教育プログラムへ参加し(自主退学)、現在「東京アーバンパーマカルチャー」を主宰。活動の軸は、パーマカルチャー、非暴力(共感)コミュニケーション、禅(マインドフルネス)と若者中心の社会運動。日本各地でワークショップなどを通じて精力的に平和活動を拡げている。夢は全ての人と命が大事にされて活かされる社会を育てる事。