安倍政権への「ふわっとした嫌悪感」。内閣支持率逆転に一役買う学生団体「SEALDs」
古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4 Vol.009 日本再生に挑むより
「SEALDs」のwebサイトより

流れが変わりつつある

内閣支持率の著しい低下

何となく、「流れが変わりつつある」と感じる人が増えているのではないか。
毎日新聞が、内閣支持率逆転を報じて話題になった。何が起きても高支持率を誇っていた安倍内閣でも、ここまで落ちてきたのだ。

正確に言うと、同紙が7月4、5日に実施した全国世論調査で支持率が42%、不支持率が43%となり、第2次安倍内閣発足後、初めて支持・不支持が逆転したということだ。この程度だと誤差の範囲内だから、そんなに大騒ぎするほどのことではないようにも思える。

しかし、他の報道機関でも、安倍政権の支持率は、依然として不支持を上回っているものの、支持率が政権発足以来最低になっているところが多い。政治の潮流に大きな変化が起きている可能性は否定できないと言って良いだろう。

安保法案への反対は着実に増加

安倍政権が「丁寧に説明する」と言いながら、実際には、ほとんどまじめな議論をしないで強行に法案成立へとごり押ししている姿を国民は、「イライラ感」「恐怖感」「不安感」を持って見ているようだ。どの機関の調査を見ても、今国会での安保法案成立に反対する声が過半数から6割前後まで高まってしまっている。理解が深まるほど心配になっているというのが実情だ。

これが支持率低下の最大の要因に成っていることは確かだ。

報道弾圧と「沖縄叩き」が重なったことの影響

安保法案への不信が高まる背景には、安倍政権の高飛車な政治手法があると考えられる。
安倍政権は、沖縄の辺野古基地建設問題で、沖縄の翁長知事に対していじめとも言えるような冷淡な仕打ちを続けてきた。これに対して、沖縄がかわいそうだという世論が高まっていた。

また、私のI AM NOT ABE 発言へのバッシングやこれと関連してテレビ朝日などを自民党の会議に呼びつけて圧力をかけた問題などが、安倍政権の権威主義的な性格を際立たせる効果を生んだ。

そうした素地があるところで出たのが、自民党文化芸術懇話会での暴言だ。ここでの発言の特徴は、沖縄バッシングと権力と闘うマスコミバッシングが一体となって行われていることだ。それが呼び起こしたのは、沖縄たたきに対する反感と報道弾圧に対する反感がダブルで沸き起こったことによる痛烈な自民党批判である。まるで安倍批判を爆発させるために巧妙に仕掛けた罠であったのかと思わせるほどの自爆だった。

しかも、この会に集まった議員たちは、安倍応援団として集められた議員である。彼らの発言は、安倍氏の気持ちを斟酌してそれを代弁するつもりでなされている。いわば、「集団ゴマすり大会」だったわけだ。安倍総理も当初関係者処分に後ろ向きで、対応が遅れたが、そのことが、安倍氏への国民の不信感を一層増幅させた。いまさら火消しに走ってもほとんど手遅れだ。この傷は、今後ボディ・ブローのように安倍政権にダメージを与え続けると思われる。

(略)

「#自民感じ悪いよね」が急速拡散中

こうして国民の間に広がる「ふわっとした嫌悪感」を非常にうまく表したのが、「自民感じ悪いよね」という言葉だ。ツイッター上で若者中心に急拡大している。これも、上記の国民に広がる反安倍の機運とぴったりタイミングがあったからこその急拡大だ。

是非、「#自民感じ悪いよね」で検索してみて欲しい。とても気のきいた政権批判のツイート(特に、面白い画像がついているものが多い)があふれ出てくる。つまらないテレビの報道番組を見るよりもずっと楽しめること請け合いだ。

安倍総理がもっとも怖れるヒーロー登場-「SEALDs」が日本を変える?

潮流変化を主導するもの

こうした大きな潮流の変化をリードしているのは誰なのだろうか。

私が以前から注目して来たグループがある。それが「SEALDs」だ。SEALDs(シールズ:Students Emergency Action for Liberal Democracy-sの略称)は、「自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクション」だ。元々は、特定秘密保護法案の提出に危機感を持った学生が、立ち上げた「SASPLE」という団体が前身になっているが、その担い手は10代から20代前半の若い世代だ。従来、大人たちが、政治に無関心だと考えていた層である。(https://twitter.com/SEALDs_jpn

彼らの主張は、非常にわかりやすい。「戦後70年でつくりあげられてきた、この国の自由と民主主義の伝統を尊重し」「その基盤である日本国憲法のもつ価値を守りたいと考え」「現在、危機に瀕している日本国憲法を守るために、立憲主義・生活保障・安全保障の3分野で、明確なヴィジョンを表明」する。「特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認」を「憲法の理念の空洞化」だととらえ、「貧困や少子高齢化の問題」にも警鐘を鳴らす。そして、「この夏の安保法案の審議」「来年の参議院選挙以降の自民党による改憲の企て」を前に、「この1年がこの国の行方を左右する非常に重要な期間」だと訴える。

彼らには、政治家よりも差し迫った危機感がある。ほとんどの野党が、安保法制の議論をいかに来年の参議院選挙のために使うかという視点でしか捉えていないのに対して、SEALDsは、それよりも前のこの一年が勝負だとはっきり認識しているのだ。そして、安倍政権の暴走を放置した時、最大の犠牲者になるのは自分たち若者であるという皮膚感覚に根ざした言葉で率直に若者に呼びかける。その声は、政治家のプロパガンダとは違い、若者の心に素直に受け入れられ、これまでは、政治にかかわることを避けてきた層にも、急速に浸透しているのである。・・・(以下略)

古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4(2015年7月10日配信)より

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