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日本株はどうなるのか 
これから始まるギリシャ・ショックのすべて

老国の「デフォルト騒ぎ」このままでは終わらない
チプラス首相の発言ひとつで日本でも株価は乱高下。ギリシャ国民は「親EU」「反EU」に二分され、ともにデモで声を上げる〔PHOTO〕gettyimages

欧州の小国の問題に世界が翻弄されるところに、グローバル金融時代の恐ろしさがある。しかも、悪夢はまだ序章。世界中が危機の深淵に追い詰められる—。

ピケティはこの事態を「予言」した

「マーケットはいま、米国の大物投資家ジョン・ポールソン率いるヘッジファンドが、ギリシャ投資で大損しかねないという話題で持ちきりです。

ポールソンは昨年くらいからギリシャの銀行株が回復していくと見て投資していたが、この株が今回のギリシャ・ショックで大暴落している。このままいけば、損失額は数百億円規模に膨らんでしまう可能性すらある。

ポールソンといえば、サブプライムローンの破綻を予想し、逆張り投資で巨万の富を築いた男としてマーケットでその名を知らない者はいない。そんなプロ中のプロでも足をすくわれかねないほどに、先を読めない混迷時代に突入したといえる」(在米機関投資家)

金融支援をする代わりに財政緊縮策を要求するEU(欧州連合)、IMF(国際通貨基金)、ECB(欧州中央銀行)。それに対して、これ以上の緊縮策は受け入れられないと反発するギリシャ政府。そんな両者の交渉妥結が期限切れになったことを契機にして、ギリシャのデフォルト(債務不履行)危機が火を噴いたのは7月1日のことだった。

さらに、火に油を注ぐように、ギリシャのチプラス首相がEU側の求める緊縮策の是非を問う国民投票を行うと宣言したものだから、今度はギリシャのユーロ離脱が危惧される一大騒動に発展。

パニック状態に陥ったマーケットは世界同時株安に突入し、日本株も一時600円超も値下がる暴落劇に巻き込まれた。

市場関係者は交渉が合意すると楽観視していたため、株式市場にはショックが走った。

そうした中で、事前に交渉決裂を危惧して警鐘を鳴らしていたのが、あの著書『21世紀の資本』がベストセラーになったトマ・ピケティ教授です。

ピケティ教授はほかの経済学者らとともに、6月初旬に英フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、交渉が失敗に終わればチプラス政権以上に過激で、敵対的な政権が誕生するかもしれないと警告。EU側はギリシャに緊縮策ばかりを求めず、もっと寛容になるべきだと訴えていたのです」(欧州系証券会社幹部)

そんなピケティ教授らの心配を知ってか知らずか、ギリシャとEUはいまもつばぜり合いを続けるばかり。これまで頑なだったチプラス首相が歩み寄りを見せれば、今度はEU側がそれを突っぱねるなど両者の溝は埋まらず、事態は悪化の一途を辿っている。

両者が互いに歩み寄ろうとしないのには、いくつかの理由がある。

まずはEUサイド。

実は今年1月にチプラス政権に交代するまで、ギリシャ政府はEUやIMFの要求を部分的に実行しようとしていた。しかし、ドイツを中心としたユーロ諸国やIMFのラガルド専務理事の杓子定規の緊縮策要求は、ギリシャにとってあまりに厳しかった。屈辱と耐乏に嫌気が差したギリシャ国民は、急進的な「反緊縮」を唱えるチプラス氏に政権を託してしまった。

「つまり、チプラス政権という『モンスター』を生んでしまった張本人は、EUやIMFだともいえるわけです。EUとIMFにはギリシャ危機をここまでエスカレートさせた責任の一端がある。

そうした批判をかわすために、ドイツのメルケル首相などEU首脳たちはギリシャに対して、『お前たちに一方的な責任がある』という強い態度で臨まざるを得なくなっています。これまでギリシャに同情的だった欧州議会のシュルツ議長でさえ、チプラス氏を批判しています」(在独ジャーナリストの熊谷徹氏)

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