佐藤優のインテリジェンス・レポート「米国とキューバの外交関係回復」

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol0.64 インテリジェンス・レポートより
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【事実関係】
7月1日、米国のオバマ大統領は、米国とキューバが大使館を再開し、外交関係を回復すると発表した。

【コメント】
2.―(1)
本件を新聞各紙は大きなニュースとして扱っているが、外交的観点からのニュース性はほとんどない。外交的成果をあまり挙げることができずにいるオバマ大統領が、実態以上にキューバとの外交関係回復の意義を膨らませているにすぎない。

2.―(2)
去る4月11日午後(日本時間12日早朝)、パナマ市で行われた米国のオバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が会談で、外交関係回復の方向性は明確になっていたからだ(4月22日配信、本メルマガVol.59掲載の分析メモNo.128「米国・キューバ首脳会談」参照)。

3.―(1)
4月11日のオバマ・カストロ会談についても、マスメディアは「米・キューバ関係が正常化した大きな歴史出来事である」という趣旨の報道を行ったが、実態はまったく異なる。

3.―(2)
外交関係を断絶した場合、両国はそれぞれ「利益代表国」を指定する。たとえば、米国と日本の国交が断絶していた第二次世界大戦中、米国における日本の利益代表国はスペインだった。これに対して、日本における米国の利益代表国はスイスだった。スイスもスペインも中立国だったが、スペインは日本に好意的であり、スイスは米国に好意的だったからだ。

3.―(3)
キューバにおける米国の利益代表国はスイスだ。1977年、キューバの首都ハバナに、スイス大使館施設の付属として米国利益代表部が開設された。この代表部には、ワシントンの国務省から派遣された外交官が勤務している。これによって、大使の交換を行っていないことを除いては、米・キューバ外交に特段の支障はなかったのである。・・・(以下略)

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.064(2015年7月8日配信)より