ガーナのチョコだけじゃない! インドネシアのカカオで電力まで生み出す? オックスフォード卒 起業家の挑戦
オックスブリッジの卒業生は いま

シリーズ「オックスブリッジの卒業生は、今」、今回は京都でインドネシアのカカオから作るチョコレートを販売するDari K株式会社の吉野慶一社長の登場です。オックスフォード大学、金融アナリストの経験がどのように今の事業につながっているのかについてお話を聞きました。

カカオ農園にて

インドネシアのカカオを軸にビジネスを展開

ー Dari Kの事業内容について教えてください。

Dari Kは4年前に起業したのですが、現在は直営店2店舗と、百貨店などでもチョコレートを販売しています。また。京大桂ベンチャープラザというインキュベーションセンターにも研究開発の拠点を置いています。メディアではチョコレート屋さんとして紹介されることも多いのですが、実際はカカオを軸とした様々なビジネスを展開し、農家の所得や現地での付加価値向上を図り、ビジネスを通じて社会に貢献することを目的としています。これまで、経済産業省、京都府、京都市や商工会議所などのビジネスコンテストで受賞し、インドネシア政府からも当社の取り組みに対する推進状をいただきました。

イギリスでは発言する人が評価される?

ー オックスフォード大学では何を専攻していたのですか?また、留学するきっかけは?

比較社会政策学を勉強していました。日本の人口減少と移民の受け入れ体制に問題意識を持ちつつ、いかに高齢者を労働市場に引き留めることができるか、年金労働政策について研究していました。クラスメートはイギリス人、北南米、ヨーロッパ、アジアとアフリカで、それぞれ4分の1の割合で構成されていました。とにかく様々な国の事例が出てくるので、多くのことを学びました。

私は学部時代にシンガポール国立大学に交換留学していたのですが、その時にしっかり勉強しておけばよかったという後悔があったため、改めて留学したいと思っていました。京都大学大学院でアジア経済を勉強していた時、イギリス留学にチャレンジしました。オックスフォードには移民研究の第一人者がいたため、その教授とコンタクトを取り、出願しました。

ー 留学生活中にあった思い出深いエピソードは?

オックスフォードは移民研究が有名です。自分の研究分野に近い教授が指導教官になると言われ、期待に胸を膨らませて留学しました。しかし、いざ入学したらその教授が勇退されたのです。留学と同時に研究分野を変えざるを得ない状態になったことが一番の思い出深いエピソードです(笑)。

新たに迎えた指導教官は、20代のジェンダー学専門家の女性でした。博士課程に在籍しつつ指導する講師だったのですが、彼女とはよくぶつかりました。学期毎の評価があまりにも低くて納得いかなかったため、彼女に理由を聞きに行ったら、クラスへの参加率(授業中の発言率)が低いからだと言われました。私は分からないことがあってもすぐに聞かずに、授業後に自分で調べたり、授業後に個別に先生に聞きに行っていました。しかし、その女性教官は、授業中に「そこが分かりません。どんな意味なのでしょうか?」と質問をすることがクラスへの積極的な参加だと言うのです。日本人の感覚では授業を中断してまで自分が分からないことを聞くのはどうなのかと思いますが、外国では分からないことをその場で聞くことが評価される、その考え方の違いが印象に残っています。

もう一つ思い出深いのは、課題があまりにも多く、クラス全員がピリピリしていて授業を楽しむ余裕がなくなってきていた時、イギリス人の同級生が授業中に「もうできない」と泣き出したことがありました。彼女は英語もネイティブで十分な経歴もあるのに泣き出してしまった。私は自分の英語力が足りず授業についていくのが辛いと思っていたけど、実はネイティブでさえも辛かったのだということを知り、そこから急にクラスメートに親近感が湧きました。