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株価大暴落でついに危険水域!
安保法制に揺れる安倍政権に、「中国発の大津波」への備えはあるか

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中国全土の「股民」を襲った悲劇

私は普段、少なからぬ中国人の知人と、「微信」(WeChat)で交信している。微信は、中国で6億人以上が使っている中国版のLINEだ。

だが、それにしても先週ほど恐い週はなかった。中国人たちから送られてくる微信に溢れる憤怒と嘆息、そして自嘲に自棄。そう、中国株大暴落の話だ。

思えば、6月12日に5178ポイントをつけていた上海総合指数は、7月8日には、3507ポイントとなったのだ。わずか1ヵ月弱で、47%の下落である。これによって2億人以上の「股民」(個人株主)が、平均30万元(1元≒19.6円、以下同)から50万元損したと言われている。

2007年にも急上昇→暴落が起こったが、その頃は、まず株で儲けて、その儲けた資金でマンションと自動車を買おうというのが、中国人の夢だった。そのため株の暴落によって損しても、ならば実働によってマンションと自動車を買おうと、頭のスイッチを切り替えたものだ。

ところが今回は、すでに買ったマンションや自動車を売り払って、その資金で株に熱を上げる人々が多かったのである。つまり、今回の大暴落によって、これまで蓄えてきた財産が、すっからかんになった「股民」が多いのだ。

いや、財産がゼロになるならまだマシというもので、多くの中国人が、俗に「杠杆」(レバレッジ)と呼ばれる信用取引を行っていた。これは、自己資金の数倍から数十倍まで掛けられるシステムで、株価が低迷していた2012年8月に、「股民」を増やす目的で始まった。だが、勝てば元手の数十倍になるが、負ければ自己資金の数十倍の借金が残る。今回は、そんな大借金を抱えてしまった「負け組」の山となったのである。換言すれば中国全土で悲劇が発生したのである。

私はそれまで気にもしていなかったが、微信で交信している中国人の知人のほぼ全員が、中国株に手を出していたことが判明した。やっていないことが分かったのは、後述する著名コラムニストの頂利氏と、上海で健康食品を手がける台湾人の社長だけだった。

前者は清貧の思想から、後者は「株で儲けても達成感がない」という理由から、やっていなかったのだという。残りは猫も杓子も、感情を露わにした「つぶやき」を発したのだった。中国人は普段はフレンドリーな人が多いが、カネが絡むと、とたんにマジになるということを再認識させられた次第である。