安保法制の危険性は国会議員が率先して訴えるべきだ

古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4 Vol.008より

「国会、戦後最大の延長」の最大の問題点とは

Gbiz: まずは安保。

古賀: そうですね。やっぱり盛り上がっているんで。自民党が9月27日だっけ?めちゃくちゃな会期延長、史上最長だそうです。どうせやるなら歴史に名を残したいということで、わざわざ土日を入れるっていうね。日曜日が会期末というおもしろい延長の仕方をしました。もちろん金曜日までしか審議はしないはずですけれども。

何ができるかっていうと、相当長い期間をとったので、例えば7月の二十何日? 土日が、よくわかんないけど25、26日ごろまでに衆議院を通過させると、そのあと、2カ月が経過すれば、その間、参議院に行って、あの法案が可決っていうか、議決してもらえなくても衆議院に持ってきて、再議決するっていう手があるんですよね。もう何があっても絶対通すという決意だということ。解説が最初に流れたんですけど、一応、与党側は「いや、そんなこと、考えてませんよ」と。

Gbiz: まあ、そう言うでしょうね(笑)。

古賀: さすがに最初から「考えています」って言ったら(笑)。

Gbiz: そんな「そうです」とは言わないですからね(笑)。

古賀: (「いや、そんなこと、考えてませんよ」)と言っていますので、まあ、どうなるかわかりませんが、いずれにしても何があっても通すというのははっきりさせたんですね。それに対して、もちろん民主党とか、みんな野党は、そんな長いのはひどいじゃないかというので反対をしていて、共産党はもちろん反対するんですけど、民主党は強く反対をして国会が動かないというのが、ちょっとあったんですけど、もう正常化しましょうということで、与野党合意をして、国会が動き出したということですね。

審議を何時間積み重ねましたみたいな。いつも出ていますよね、80時間が目安とか、よく出ていますけれども、それは94時間とか、100時間とか、こんなにやりました。これだけやったら、もう採決でしょうという。

Gbiz: 時間をかけたという。

古賀: うん。ということに、たぶんなっちゃうので、そこが非常に心配なところです。国会空転っていうのが正常化しちゃったんですけど、僕はツイートでも言ったんですけど、安保法案っていうのは、ちょっと他のものとは別扱いにすべきじゃないかと思うんですよ。

もちろん国会っていうのは法案審議をするというのは1番大事な仕事ですから、いろんな法案は大事なものはたくさんあるので、それをしっかり審議してもらいたいというのは当たり前のことなんですけど、ただ普通の法案と、この安保法案というのは質的に異なるんですね。

それはどういうふうに異なるのかというと、政策的な内容というものよりも違憲であるということですね。違憲の法案というのが出てきたときに国会は、どうすべきなのかということがあるわけですけれども、憲法99条では一般の公務員もそうなんですけど国会議員も、この憲法を守る義務がありますよというふうに書いてあるんです、はっきり。

ということは、将来的に憲法改正をするべきかどうかという、それを議論するのはいいんですけれども、そうじゃなくて、もう違憲だって明らかな法律を通すか通さないかなんていう議論をしていること自体、ちょっと憲法を無視しているということになるじゃないですか。だから本来は、それはやっちゃいけないんじゃないかなと思うんですね。

それ以外の、例えばこの間、衆議院を通りましたけど、派遣法。これは政策的に自民党と民主党は非常に強く対立したわけですけれども、これは別に違憲の法律ということではないんですね。もちろんすごく強烈に反対している人の中には違憲という人もいるかもしれないけど、少なくとも。

Gbiz: その内容を。

古賀: ねえ。内容がいいですか悪いですかというのが主な論点で、日本中の学者が違憲だと言っているわけでも何でもないという、そういう法案ですから、それは反対であっても、審議はするべき法案だと思います。それ以外の普通の法案は、そういうものなんですけど、ちょっとこの安保法案は特別だというふうに考えたほうがいいと思います。

Gbiz: 他のものも進まなくなっちゃいますもんね。

「安保法制論議」民主党はチャンスを生かせるか

古賀: そうなんですね。だから本当はやるべきことは安保法案の審議には応じない。だけど他のものはちゃんと粛々と審議に応じますというのが1番正しい対応かなと思うんですけどね。それは国会を丸ごと空転させてやるぞみたいな、それをやっちゃうとちょっと。

Gbiz: 他のものも全部巻き込まれて。

古賀: 大事なものもできないっていうことになっちゃいますからね。ということなんですね。これをこれからやっていくと審議をやって、結局、採決っていうふうになる可能性が高いんですけど、じゃあ、審議拒否っていうのが本当にそんなにできるのかっていう話になりますよね。民主党は審議拒否してると「国会議員が、そんな給料をもらって審議もしないで何だ」って、そのうち言われるだろうなっていう、それを心配しているんですよ、すごく。

だけど、それってやっぱり僕はマスコミに責任があると思うんですね。そういうことをマスコミは必ず時間がたつと言い出すんですよ。

だから僕は本当はマスコミが言うべきことは他の法案はちゃんと審議しろと。
特に例えば議員提案とか、そういうのもたくさん出ているんですけど、どの法案をどういう順番で審議するかというのは国会が決めることなんですよ。だから安保法案を政府が出して重要だって言っているから、まず最重要法案で真っ先に審議しなくちゃいけない。そんなことは全然ないので、まずは国会から見て、これは大事ですね。

これは国民生活に密着していますねとか、そういうものをどんどん、どんどん優先的にやっていくということをやればいいので、それをマスコミはそれでいいんだというふうに報道してあげるというのが大事だと思いますし、それから安保法制は本当に、これは違憲法案がこのままだと通っちゃうんですけど、それは今の国会の議席の数から言うと、どうしても止められないじゃないですか、そこは。

そうすると、じゃあ、どうやったらわれわれ市民から見ると止めることができるのかっていうと、やっぱり自民党が国民が、もう本当に反対しているんだ。これを無視していったら大変なことになるかもしれないよっていう恐怖感を与えないといけないと思うんですよ。それを伝えていくというのが大事なことで、そのためには国会の周りを、この間の水曜日にもけっこう集まっていましたけど、巨大なデモが取り囲むみたいなことが年中、起きるというような、そういうことがあればいいなと思うんですけれども、それを国会議員が先導してやったらいいんじゃないかなと思うんですね。

ですから今、安保法制は特別委員会でやっていますけど、そこの野党議員は、みんなまちに出て、こんなもの、審議なんかしている場合じゃないんです。みなさん、このまま行ったら、本当に通っちゃいますよ。とにかく国会で、われわれが戦うために力をくださいみたいな感じで。

Gbiz: 市民を巻き込んで国会を。

古賀: 巻き込んで、それで大きなデモをつくっていくとか、それぐらいやらないと駄目じゃないかなと思うんですね。野党側も反対はしているけど、何か、危機感があまりないなと。要するに反対だというんだったら、どうやって止めるのかというね。これを止めなかったら、どんなことになるのかというね。

Gbiz: そこまで行っていない。

古賀: ちょっと、そこが弱いなというふうに感じます。維新の党がやっぱり野党の足並みを完全に乱しちゃったので。これは派遣法のときも、そうだったんですけど、派遣法では維新と民主党が一緒に同一労働同一賃金の法案を出したりなんかして、共闘を組むように見えたんだけど、途中で維新の、特に大阪系の人たちが裏で自民党と裏談合しちゃって、同一労働同一賃金の法案を骨抜きにして、それで合意しちゃって派遣法そのものには反対なんだけど、どうぞ採決してくださいってやっちゃったんですね。あれはちょっとひどい国民に対する裏切りだったなと。

あのときに、だれだったかな。足立(康史)っていう維新の大阪系の議員が、とんでもない質疑をしていましたよ、もう、これで審議しないとか、採決は駄目だとか言ってる、あの民主党の態度はとんでもねえみたいなね。だけど維新のほうが、よっぽどとんでもないなて。要するに国民をだましているわけで
すね、内容は反対ですとか言いながら、採決、どうぞ、どうぞと言ってね。要は安倍政権に、ただ、すり寄っているだけなわけですよ。

今回の安保法制についても維新はまったく同じ戦略をとっているんですね。つまり対案を出します。その対案の内容はけっこう厳しいものです。ですから自民党はそのまま飲めるような内容じゃありません。そうすると、これから9月の末まで延々とやるわけですけど、その間、ずっと議論していることになるわけです。

維新の狙いは、そうやって自民党と維新が一生懸命真剣に議論をしています。民主党は、ただ反対、反対と言っているだけですという、その違いを際立たせようとする作戦で、だけど、じゃあ、本当に本気で反対しているのかというと、全然そんなことはなくて、これだけ審議したんだから採決させてくださいねって言われたら、それはそうですね。十分審議しましたもんね、どうぞ、どうぞと言って、通しちゃおうと。それは安倍さんに対して恩を売るという作戦なんですよ。

Gbiz: すごい戦略ですね。

古賀: うん。だけど、それをやっぱりマスコミが、そこら辺を丁寧に伝えていないなという。

Gbiz: そうですよね。画(え)が、もう、そうなっちゃっていますもんね、マスコミから来るものは。

古賀: そうなんですね。だからマスコミから見ると、維新が責任政党だみたいな、ちゃんと厳しい対案を出しているらしいみたいな、そんなふうになりそうなので、ちょっと報道を読んだり見たりするときは、みなさんにはぜひ。

Gbiz: 気をつけて。民主党もね。

古賀: 民主党も、そこをやっぱり強気で行かないと駄目だと思いますよ。中途半端で、とりあえず思いっ切り行ってみよう。何か、世論が怖いから、やっぱりここで妥協しようみたいな、その繰り返しでやっていると、結局、民主党も国民のほうを向いていないじゃないかというふうにね。

Gbiz: チャンスですよね。

古賀: そう。ここはチャンスですよね。これは下手すると結局、維新が目立つでしょ。それから共産党は、もちろん、もうめちゃめちゃはっきりと反対でいくわけですよ。そうすると共産党と維新にそれぞれの人たちが流れて民主党は間に落ちて。・・・(以下略)

古賀茂明「改革はするが戦争はしない」フォーラム4(2015年7月3配信)より
 

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