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2015年07月16日(木) 草野真一

なぜSNSは「第五の権力」なのか? 
いまさら聞けないその面白さ

草野真一=著『SNSって面白いの?』 何が便利で、何が怖いのか

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photo iStock

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操作手順より先に知っておくべきこと

フェイスブックにツイッター、LINEなど、「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」を使ったことのない人にとってSNSはなんともつかみどころがないものだ。今さら誰にもきけないし、何からきけばよいかわからない。本書では、そうした未経験者のためにSNSが出てきた経緯から、しくみ、メリット、リスクなどを平易に解説する。使わなくてもSNSの概要がわかってくる。

はじめに

 グーグルの元CEOエリック・シュミット氏は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とスマートフォンを「第五の権力」と呼びました。なぜ「第五」なのか。なぜ「権力」なのか。まずはそれから述べていきましょう。

 三権分立という仕組みはとても素晴らしいと思っています。人類の叡智という言葉がありますが、三権分立がそのひとつであることに異論がある人はいないでしょう。

 その昔、権力は一点に集中していました。

 たとえば王様が、「わが国の女はみんな私のものである!」と取り決め、実行したとします。立法権・行政権は王様に存するわけです。さらに、取り決めを守らず、刃向かった人々を次々に処刑したなら、王様は司法権も持っていることになります。つまり、立法・行政・司法の3つの権力を手中にすれば、いかなる独裁も可能になるのです。

 三権を分立し、一緒くたにならないようにしようという考えはそんなところから生まれました。三権分立とは権力の力をそぎ、独裁を禁じる試みだったのです。考え出したのはロックやモンテスキューだと言われていますが、本当によく考えたなと思っています。

 三権に続く第四の権力とされるのが、マスコミの力です。これは、誰もが実感できるものではないでしょうか。

 隣のオヤジが逮捕された! オヤジはこの段階では犯人ではなくて容疑者です。したがって推定無罪、実際にやっていようがいまいが、罪人ではありません。

 しかし、マスコミが押し寄せて話題になれば、そんな原則論は通用しません。会社勤めをしていればクビになるだろうし、息子や娘がいればいじめられるだろうし、引っ越ししなければならなくなることもあるでしょう。ひとりの人間の社会生命が絶たれるわけで、これが権力でなくて何でしょうか。

 冤罪事件が大きな問題となるのは、彼・彼女を誤って罪人としたせいで、何より早く第四の権力が発動してしまうためです。

 第五の権力は、あなたの手の中にあります。冒頭で述べたシュミット氏は、「これほど多くの人たちがこれほど大きな力を指先ひとつで使えるようになったのは初めてのことだ」と語っています。

 ピンとこない人も多いことでしょう。しかし、あなたの手の中のスマートフォン(携帯電話)は、権力発動のツールです。

 たとえば、「アラブの春」。あれは革命であり、政府転覆です。1章で詳しく述べますが、発端はフェイスブックやツイッターでした。さらに、「アラブの春」を大きな要因として生まれたとされる国際テロ組織「IS(イスラム国)」は、縦横にSNSを使いこなす組織として知られています。おそらく、SNSのない世界には、彼らのような集団は生まれないでしょう。

 ただし、第一から第四までの権力と、第五の権力には大きな相違があります。

 第一から第四の権力には、責任者がいました。権力を人為的に発動できる人がいました。しかし、第五の権力は違います。おそらくは誰もコントロールできません。これを発動させるためにはテクニックが必要であり、大量のお金もしくは多くの人の力などの資源が必要不可欠なのです。しかも、100パーセント発動するとは誰にも言えません。ツルの一声はあり得ないのです。これは、大きな特徴です。

 本書では、この「第五の権力」にあたるSNSを、

・どういう場合に行使されるのか
・誰が行使するのか

 に焦点をしぼり、可能なかぎり平易に述べています。

 次のように感じている人も多いはずです。

「俺が知りたいのは、そんな大げさなことじゃないんだ。たとえば俺の娘は、食事をしているときもテレビを見ているときもスマホをいじっている。どうもSNSってやつをやってるらしい。あいつは何をやってるんだ? それが知りたいんだ」

「職場の同僚の中にも、SNSを使ってるやつがいる。何が面白いんだ?」

「誰かにSNSって何? と聞けば解決するんだろう。でも、それって聞きにくいぞ。第一、何をたずねたらいいかわからない。鼻で笑われそうだ……」

「知らないのは、置いてけぼりにされてるみたいで面白くない!」

 実は、あなたが抱いたそんな疑問も、グーグルの元CEOが「権力」と述べたことと地続きです。両者に相違はほとんどありません。言い換えればあなたの娘さんは、ごはんを食べながら「第五の権力」を行使しているのです。

 それはつまりどういうことなのか?

 本書は、それに答えるために生まれました。

 最初の話題は「ソーシャルとは何か」。これ以上ないほど基本的なこと、平易なこと、だからこそ大事なことから始めます。

 おそらく、本書の方法では、こぼれてしまうものも多いでしょう。すべては決して述べられません。

 しかし、本書を読了したあなたは、ソーシャルメディアないしはSNSについて、ある程度の知識を得ることができているはずです。それは、ややこしい現代という時代をサバイブするために必要な、尊い知識を得ることにつながるのだ。そう思っています。

著者 草野真一(くさの・しんいち)  
早稲田大学卒。受験塾理科講師を経て一年間のアジア大陸放浪後、書籍編集者となり一〇〇冊以上の本を企画・編集(うち半分を執筆)。日本に「本格的なIT教育」を普及させるため、国内ではじめての小中学生向けプログラミング学習機関「TENTO」を設立。TENTO名義で『12歳からはじめるHTML5とCSS3』(ラトルズ)、本人名義で『メールはなぜ届くのか』(ブルーバックス)を執筆。「IT知識は万人が持つべき基礎素養」が持論。

 
『SNSって面白いの?』
何が便利で、何が怖いのか

草野真一=著

発行年月日: 2015/07/20
ページ数: 256
シリーズ通巻番号: B1926

定価:本体  900円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

 


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