ニューヨークにできた“シビックテック”ムーブメントの一大拠点! グーグル、マイクロソフトも支援する「シビックホール」の大きな意義
シビックテック分野に関わる人が集い協業することを目指すコミュニティスペース、シビックホールを紹介するPDF主催者、アンドリュー・ルシェ氏(写真:Flickr @personaldemocracy

毎年6月にニューヨークで開催される政治・行政・市民参画とテクノロジーに関する国際会議「パーソナル・デモクラシー・フォーラム(Personal Democracy Forum : 以下PDF)」に今年も参加する機会を得ました。

以前に何度かレポートしたとおり(2013年2014年)、PDFには約850人の起業家、社会起業家、アクティビスト、企業の政策担当者、ハッカー、ジャーナリスト、学者、政治家、連邦政府・地方自治体政府・財団・NPO職員などが一堂に会し、「テクノロジーを活用することで行政、政治、市民活動の課題をいかに解決しうるか」というテーマについて、2日間、議論・ネットワーキングが行われるカンファレンスです。過去3回に続き、今回は締めくくりとしてのレポートをお伝えしたいと思います。

シビックテックの議論をより深めるためスペース開設

前回まで3回に渡ってお伝えしてきたパーソナル・デモクラシー・フォーラム(PDF)ですが、たった2日間で40人もの各分野の専門家の登壇、そして他の専門家約100人が登壇するパネルディスカッションが展開されており、加えてあちこちで行われた情報交換やネットワーキングで交わされる会話のほんの一部を伝えたに過ぎません。

その他にもドローン、ビットコインの取引履歴であるブロックチェーン、IoT(Internet of Things)などの最先端技術の動向について、シビックテック文脈での可能性について議論されました。また、技術者コミュニティにコラボレーションの協力を求めるニューヨーク市立図書館館長、企業の従業員が団結して経営者に対して署名活動を展開するウェブサービス(www.Coworker.org)など、国内海外の先端事例の紹介なども矢継ぎ早に行われ、途中でついていくのが困難と感じるほど多種多様な論点が議論されました。

PDF会場の様子 (写真:Flickr @personaldemocracy

2004年に始まったばかりシビックテックのムーブメントですが、「シビックテック」という言葉自体、定義がまだ困難な新しい"業界用語"であり、登壇者も毎年さまざまなテーマで議論が交わされますが、テクノロジーを活用することで行政・政治・市民参画にイノベーションをもたらし、少数ではなく、より多くの人の生活を豊かにする取り組み、と私は理解しています。

例えば一昨年は今や1000万人が参加する署名サイトのChange.org、地域の社会課題を行政機関にレポートするサービスSeeClickFix、地方自治体にフェローを派遣するCode for Americaなどへの数十万~数百万ドル単位の出資・助成が相次ぎ、セクターの盛り上がりが議論されました。

昨年は米国家安全保障局(NSA)の元職員エドワード・スノーデン氏による内部告発を受け、国家によるプライバシーの侵害・監視行為に対する懸念・対策についての議論に注目が集まりました。来年は米国の大統領選が行われることもあり、投票行動やキャンペーンなどについての議論もきっと大きな注目を集めることと思います。

選挙、オープンデータ、オープンガバメント、市民の声を集めるビッグデータ活用、署名、ビジュアライゼーション、ソーシャルメディア活用などなど・・・分野、テーマを超えて市民生活をより豊かにするための議論が年に1回、2日間だけでは足りないのではないか、と思う人もいるかもしれません。そんな参加者に向けて、今年は主催者からの大きなアナウンスがありました。毎日がPDFと感じられるようなコワーキング&コミュニティスペース「CivicHall(シビックホール)」をマンハッタンの中心部に創設したので、1年を通じてシビックテックの議論をより深め広めていってほしい、ということでした。

ブルックス・ブラザーズやナイキストアなどのブランド店、そしてバズフィードやジェネラル・アッセンブリーなどの新興メディア・スタートアップ企業が歩いてすぐの場所にあるフラットアイアン地域(5番街+21丁目)の高層ビルの2階にシビックホールは位置しています。

マイクロソフト、グーグル、オミディア・ネットワークなどの支援を得て2015年初めにオープンしたスペースは1万5500スクエアフィートと大規模で、コワーキングスペース、イベントスペースとして、羨ましいほどの魅力的な空間となっています(参照:2015年オープン当時の前に記録されたツアー動画、Facebookページに掲載されている写真)。

現在シビックホールのウェブサイトを見ると毎週のようにシビックテックに関連したイベント情報が掲載され、シェアオフィスとしての会員はすでに400人以上が登録しているとのことです。スペース内にはニューヨークで毎月約1000人が参加する「NYTechMeetup」、そして本コラムでもご紹介したことがあるデータ活用を通じてソーシャルイノベーションを支援する「データカインド(Datakind)」などの先端的な組織のオフィススペースも同じスペース内に入居しています。

またシビックホールの設立に併せて以前から発行されていたオンラインメディア「techpresident」が新しいサイト「Civicist(シビシスト)」として生まれ変わり、「シビックテック業界」周辺の最先端の記事、ニュース・キュレーション、分析を現在は無料で閲覧することができます。

PDF主催者、シビックホール創設者のミカ・シフリー氏(左)とアンドリュー・ルシェ氏(右)(写真:筆者撮影)
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