中国
経済制裁の復活? 対話の強化? 安倍政権は今後、北朝鮮とどう向き合うべきか
北朝鮮が特別調査委員会を立ち上げて丸1年。写真は拉致被害者家族の横田さん夫妻〔PHOTO〕gettyimages

7月4日は、アメリカの独立記念日だったが、今年は日本にとっても重要な日だった。北朝鮮が、日本人特別調査委員会を立ち上げて、丸1年を迎えたからだ。

おそらく拉致被害者家族らは、北朝鮮からの「電撃発表」を密かに待ちわびていたに違いないが、この日は静かに過ぎていった。

日本人特別調査委員会は、昨年5月の日朝ストックホルム合意に基づいて北朝鮮が設置したものだ。拉致被害者、行方不明者、日本人遺骨問題、残留日本人・日本人配偶者の4つの分科会に分けて、改めて日本人について調査するとしたのだ。

この4つの範疇の中で、日本は当然ながら、拉致問題を最重要視しているが、そこは北朝鮮のメンツを立てて、「総合的な日本人の調査」としたわけだ。

さらに言えば、世界最悪の抑圧国家である北朝鮮においては、改めて調査などするまでもなく、自国内の日本人の動向は、完全に把握しているに決まっている。そこのところも含めて、日本は北朝鮮側のメンツを立ててやったのである。

安倍政権が直面する、古くて新しい「問い」

だが、北朝鮮は一年が過ぎても、少なくとも公には、沈黙を守ったままである。

こういう場合、日本としてはどう対応すべきなのだろうか?

実は、これは古くて新しい「問い」である。韓国などは、北朝鮮にアメで臨むかムチで臨むかを争点にして、大統領選が繰り広げられるほど、重大な「問い」である。

安倍晋三首相の政治の師匠である小泉純一郎首相は、「対話と圧力」という原則で臨んだ。そして2002年には電撃訪朝して、金正日総書記と「日朝平壌宣言」にサインした。だが周知のように、拉致問題の解決も北朝鮮との国交正常化も実現しなかった。

安倍首相は、かつて「拉致の安倍」との異名を取っただけあって、これまで北朝鮮問題には、殊の外、熱心だった。昨年前半は対北朝鮮外交を推し進め、昨年7月3日、晴れ晴れとした表情で記者団に対して、こう述べた。

「北朝鮮は、拉致被害者をはじめとする日本人に関する特別調査委員会を立ち上げます。そこで、行動対行動の原則に従い、日本が取ってきた一部の(制裁)措置を解除することにしました」

2006年に自ら設定した経済制裁を、解除したのである。

だがやはり、何も進まない。しびれを切らせた自民党は、先月25日に、党拉致対策本部の古屋圭司本部長(前拉致担当相)が、対北朝鮮制裁の強化を求める提言を、安倍晋三首相に手渡した。提言の内容は、昨年7月に解除した北朝鮮への制裁を、すべて再び科すこと、及び北朝鮮への送金を禁止することなどである。

安倍首相は、党から要請を受けたが当面はこれに応じないということを、「盟友」の古屋前拉致担当相と、裏で示し合わせていたのだろう。つまり「手渡し」のパフォーマンスは、国内及び北朝鮮向けというわけで、それだけ安倍政権としても、頭を抱えてしまっているのである。

北朝鮮とどう向き合うかという政策を立てるためには、北朝鮮という国を、国際的状況、国内的状況、平壌奥の院(金正恩第一書記とその周囲)という「3つの観点」から見ていくことが必要である。順に私の意見を述べたい。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら