元国連・赤阪清隆氏が語るイギリス留学の魅力
真面目に勉強する日本人は海外の競争にもついていける?

オックスブリッジの卒業生は、今

シリーズ「オックスブリッジの卒業生は、今」、今回は公益財団法人フォーリン・プレスセンターの赤阪清隆理事長にインタビューを行いました。赤阪氏は京都大学法学部卒業後、外務省に入省、ケンブリッジで経済学の学士・修士号を取得された後、在マレーシア日本大使館、国際連合日本政府代表部、OECD、国際連合を経て、2012年8月、現職に就任されました。

現職では、外国メディアの日本取材や、日本から外国へのメディアを通じた情報発信を多角的に支援しています。そして、日本から世界に向けた情報発信を積極的に行い、日本が有する知見や強みを世界に伝達する役割の一端を担っています。

赤阪理事長

ケンブリッジへの留学、徹夜で勉強した日々

― ケンブリッジ留学までの経緯は?

当時の外務省で研修先を選ぶ際に、イギリスに行きたかったものですから、第1から第7希望までイギリスと書いてイギリスに行くことになりました。そしてケンブリッジにはカルドア教授とジョアン・ロビンソン教授という、世界的に有名な経済学者がいましたから、私は経済を選びました。

カレッジ選びですが、今から思うとほんと馬鹿ですけど、トリニティーカレッジには大きなテニスコートがあり、これならテニスもやれるし楽しそうだということで選びました。でもそこはニュートンもいたすごいカレッジで、私で大丈夫かなとビクビクしました。

― 法学を勉強された後に、ケンブリッジで経済を勉強されましたが、困難はありましたか?

ありました。私はもう右も左も分からないまま一週間に10冊ぐらいの本を読み、一週間に2、3回の徹夜という感じで四苦八苦でした。担当のシニアチューターはジョン・イートウェルという、後に労働党政権のアドバイザーになる人でしたが、彼は野心満々で「みんな優(1st)をとれ」と。本当に取っている人もいたので、無理ですよとは言えませんでした。同じカレッジでシンガポール元首相(リー・クワン・ユー)の息子さんが数学を勉強しており、彼も1stでした。試験の後、当時は街の真ん中に成績表が出されて、2:2(可)以上はThe Timesに載るんです。そこで私の名前もThe Timesに載ったものだから嬉しかったです。

オックスブリッジでは成績は上から順に1st, 2:1, 2:2, 3rdとつけられます。

若者の留学の弊害になっているのは、親の意識?

― 日本の若者が内向き志向だと言われますが、どのようにお考えですか?

アメリカへの留学生がぐっと減って、5万人近かったのが2万人を割っています。アメリカ以外も含めると世界中で日本人留学生は8万人ぐらいいましたが、それも今は6万人を割っています。でも若い人は必ずしも内向きではなく、二極化しているのではないでしょうか。

ブリティッシュ・カウンシルの調査によると、日本人が留学の障害だと思っているのは、治安、資金、就職と語学でした。ですから奨学金制度があり、語学訓練が行われて、場所がしっかりしたところであれば、若い人は積極的に外に出るだろうと結論づけていました。

もう一つ障害になっているのが保護者です。PTAを対象とした別の調査によると、留学は危ない、お金がかかる、日本で家から通っている方がいい、という保護者もいるようです。一方、中国では両親の8割以上が子どもの海外留学に熱心です。だからアメリカにおける中国人留学生は20万人を超えています。

私は特にイギリスで勉強される若い人がもっと出てくればと思います。文化的な香りもあって、簡潔で明快できれいな発音、それから常に冷静で、怒ったり大声を出したりしないイギリス人の話し方から、日本人は学ぶことが多いです。そういう観点から、イギリスに関心を持ってもらいたいです。