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【独占インタビュー】
瀬戸内寂聴「93歳の私が国会まで行って、伝えたかった思い」

戦争を知る私から、戦争を知らない日本人へ
〔PHOTO〕gettyimages

身体の調子は万全ではなかった。行けば万が一のこともあり得ると思っていた。それでも、いまの状況はおかしいと声をあげずにはいられなかった。寂聴さんが命がけで訴えようとしたこととは。

独りきりで駆けつけた理由

6月18日午後、梅雨曇りの空の下、国会前で安保法案反対の座り込みをしていた人々が、一斉にどよめいた。作家の瀬戸内寂聴さん(93歳)が車椅子姿で現れ、突然、マイクを握ったからだ。

寂聴さんは昨年5月、背骨を圧迫骨折。さらに胆嚢がんが発見され9月に手術を受けるなどし、今年4月までは活動を休止して療養に努めてきた。

新幹線に乗り上京したのは1年ぶりだった。体調も万全とは言えないなか、座り込みにあたっては、「もうこれで死んでも構わないと思った」と話す。93歳の寂聴さんは国会前で何を伝えたかったのか。その思いを2時間にわたって聞いた。

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私はまだ、リハビリを続けているんですよ。大小のボールを使ったりして、いろいろな運動をするんです。

そのリハビリの若い女性トレーナーが、「順調に回復していますから、次は歩く練習をしましょう」と言う。家の中では、杖にすがってどうにか歩けるようになっていたけれど、まだ土の上を歩いたことはありませんでした。

その言葉を聞いて、私はトレーナーに、「遠出もできるでしょうか」とふっと訊ねました。