ほどほどの力で仕事をやっている人の能力は確実に低下する

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.063 読書ノートより

●田坂広志『知性を磨く 「スーパージェネラリストの時代」』光文社、2015年4月

ビジネスパーソンが、着実に能力を向上させることができる技法をていねいに紹介している。特に役に立つのは、仕事において常に能力以上の負荷をかけ続けるという手法だ。

<多くの人々が、「精神のエネルギーは、歳を重ねると、衰えていく」と思い込み、実際に、エネルギーが衰えていく、もう一つの理由は、何か?

もう一つは、「修業不足」である。

端的に言えば、精神のエネルギーというものは、誰でも多少の修業を積むだけで、歳を重ねても高まっていくのだが、残念ながら、多くの人々が、その修業を行っていない。

例えば、いま読者がビジネスパーソンであるならば、過去一ヶ月を振り返って頂きたい。過去一ヶ月の間に、「あの時間は、徹底的な精神の集中を求められた、真剣勝負の時間であった」という時間を、どれほど持っているだろうか?

残念ながら、仕事には真面目に取り組んでいるが、実は、「ほどほどのカで仕事に取り組んでいる」「仕事を適当にこなしている」といった状態のビジネスパーソンが少なくないのではないだろうか。

そして、人間の能力というものは、「一〇〇」の能力を持った人聞が、「九〇」の能力で仕事に取り組んでいると、その仕事を、たとえ「一〇〇〇時間」行ったとしても、確実に力は衰えていく。

もし、「一〇〇」の能力を持った人間が、自身の能力を高めていきたいと思うならば、「一一〇」や「一二〇」の能力が求められる仕事に集中して取り組む時間を、たとえ「毎週数時間」でよいから持たなければならない。逆に、その「毎週数時間」を持ち続けるならば、確実に能力は高まっていく。

著者の大学院講義でのささやかな経験は、著者のような普通の人間でも、毎週三時間、精神の集中が求められる修業を続けると、歳を重ねても、精神のスタミナやエネルギーが高まっていくことを教えている。

その意味で、ここで言う「修業」とは、実は、特殊なことではなく、素朴なことである。
自分の能力を少し越えたレベルの仕事に集中するという時間を、定期的に、継続的に、数年間というオーダーで持つ。言葉にすれば、それだけである。>(47~49頁)

私も田坂氏の見解に賛成する。

このテーマについて深く知るための「連読」3冊
・佐藤優『超したたか勉強術』朝日新書、2015年4月
・渡部昇一『知的生活の方法』講談社現代新書、1976年4月
・立花隆『「知」のソフトウエア』講談社現代新書、1984年3月

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.063(2015年6月24日配信)より