ピンタレストジャパン定国直樹に聞く(第4回)
コミュニティとコンテンツが一致するところにメディアの未来がある

定国直樹さんと佐々木俊尚さん
メディアの未来についてジャーナリスト佐々木俊尚さんが切り込んでいく本連載、今回のゲストはピンタレストジャパン代表の定国直樹さんです。「画像共有SNS」と誤解されていることの多いサービスですが、 SNSとはまったく違うポジションをとっている「Pinterest」。第4回は、メディアの未来についての話。(文・田中裕子/写真・瀬野芙美香)

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プラットフォームとコンテンツから見るメディアの未来

佐々木 日本では長らくパソコンが主戦場でしたが、それがモバイルに移って1,2年経ちます。当然、パソコン時代の王者がスマホ時代の王者ではありませんし、プラットフォームとコンテンツの関係も大きく変わってきています。そうそう、最近ではFacebookが「インスタント記事」を配信できる仕組みを開始しましたね。ニュースコンテンツをFacebook上で作成、配信できるという。

定国 あれは驚きました。メディアはプラットフォームを持たなくていいんだ、と。「記事はSNSのみに流し、自社サイトはつくらない」は、佐々木さんから見てもあり得る話ですか? 

佐々木 成立すると思います。けれど、自社メディアをもたない「分散型メディア」を語るときにいつも問題視されることがあって。それは、プラットフォームに依存するとデータをとりづらいということです。

定国 ああ、たしかに。

佐々木 自社サイトを持っていればGoogleアナリティクスで分析できたけれど、データはすべてプラットフォームが持っているからそれが不可能になる。となると、マネタイズも考えづらくなってしまいますし、ルールもプラットフォームに握られてしまうという弱みがあるんですね。ただ、最近はそれを回避する方法も考えられているんです。

定国 へえ。どういう方法ですか?

佐々木 バズフィードは分散型メディアに取り組むなかで、「パウンド」というデータ分析の手法を確立しています。そもそも、分析というのはただ数字を捉えればいいというものではありません。たとえば、あるコンテンツをTwitterに流したら5万リツイート、Facebookでは30万「いいね!」されたとしましょう。この数字だけを見ると「Facebookのほうが影響力は強い」と思えますよね。でも、それは早合点です。

定国 Facebookに流入したのはTwitter経由だから、ですね。

佐々木 おっしゃるとおりです。数だけを並列で見るのではなく、どう流れていくかのツリー構造を見ないと影響力を測ることはできないはずです。

定国 でも、データを持っていないのにどうやって分析するのでしょう?

佐々木 拡散した瞬間、つまりリツイートされたり「いいね! 」されるごとにURLハッシュ通知を足していくんです。そのハッシュがどう流れていくのかを追いかけていけば……。

定国 トレースできるわけですね。

佐々木 ええ。完全にプラットフォームに依存しても、データがとれる。画期的でしょう。こういう仕組みがうまく回れば、コンテンツプロバイダが支配され、囲い込まれ、全然儲からない、なんてことはなくなるはずですし、マネタイズだってできるはずです。

定国 今後、プラットフォームの数は絞られてくるでしょうね。

佐々木 ユーザーにとっても、プラットフォームは集約されたほうが迷わなくていいですから。画像のプラットフォームでいえば、InstagramとPinterestで決まりじゃないでしょうか。

定国 そうですね。それで、コンテンツプロバイダはコンテンツをつくることに特化していく、と。

佐々木はい。プラットフォームはコンテンツをつくる人にとって敵ではなくて、win-winで利用しあう関係。そういう考え方が前提になっていくでしょう。そのなかで、インフォグラフィックやシネマグラフのように、コンテンツのUXがどんどん進化していく。Pinterestというプラットフォームにコンテンツ側がいかに最適化していくか、という流れになるでしょう。

定国 これからは、数少ないプラットフォームに乗せるコンテンツを生みだす能力に問われることになるというわけか。例えばバズフィードは、コンテンツのつくり方が非常に上手ですよね。ワーディング、インプレッション、タイトリング……。「いかにクリックさせるか」が考え尽くされていて。

佐々木 ええ、尋常ならざるこだわりを感じます。

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