北方領土問題、プーチン大統領から踏み絵を突きつけられた日本
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」 インテリジェンス・レポートより

分析メモ:「プーチン露大統領の訪日意欲」

昨年の2月、ソチでの安倍首相とプーチン大統領〔PHOTO〕gettyimages

【事実関係】
6月20日、ロシアのサンクトペテルブルクで行われた記者会見において、プーチン大統領は北方領土問題に関して、「ロシアだけでは何もすることができない。日本側からの行動を待っている」と述べた。

【コメント】
1.
6月20日、ロシアのプーチン大統領が、サンクトペテルブルクで世界の主要通信社の代表と会見した。

2.
この会見でプーチンは、こう述べた。

<北方領土問題について「どんな問題でも解決することは可能だ。そのためには対話が必要だ」と述べ、安倍晋三首相との会談に意欲を示した。会見に出席した共同通信の報道をロシアのタス通信が伝えた。

北方領土問題についてプーチン氏は「ロシアだけでは何もすることができない。日本側からの行動を待っている」と述べ、日本側からなんらかの打開案を示す必要があるという考えを示唆。さらに「ロシアと日本の関係が冷え込んでいる責任は日本にある」とも指摘した。ウクライナ問題を機に日本が対ロ制裁に踏み切ったことへの批判だ。>(6月20日 朝日新聞デジタルより)

3.―(1)
一見、プーチンは訪日に強い意欲を示し、安倍政権に対して好意的シグナルを送っているようだが、真相は異なる。

3.―(2)
6月6日、安倍首相はウクライナの首都キエフを訪問し、ポロシェンコ大統領と会談した。この会談で安倍首相は、「対ロシア制裁を維持しつつ、対話と圧力を通じ、ロシアが親露派に対して建設的役割を果たすように働きかけている」と強調した。

「対話と圧力を通じ」という表現は、日本が対北朝鮮外交で専ら用いている表現である。安倍首相は、この言葉を用いることによって、日本がロシアを北朝鮮と同じような国際社会の秩序を撹乱する国家であるという認識を示した。当然のことながら、このような発言に対してロシアは不快感を覚えている。

4.
安倍首相は、日本・ウクライナ首脳会談の翌々日の6月8日、ドイツのミュンヘンにおける記者会見で、「北方領土問題を前に進めるために、プーチン大統領の訪日を本年の適当な時期に実現したい」と述べた。わずか2日間で、日本はロシアに対して、正反対のシグナルを送った。

5.
ロシアのプーチン大統領は安倍晋三首相に対して、「ロシアだけでは何もすることができない。日本側からの行動を待っている」「ロシアと日本の関係が冷え込んでいる責任は日本にある」と述べることにより、「安倍政権はロシアとの提携強化を志向しているのか、それとも対決姿勢を示しているのか、明確にせよ」と踏み絵を突きつけている。・・・(以下略)

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.063(2015年6月24日配信)より

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