【沿線革命049】東海道新幹線
焼身自殺による火災事故 
鉄道テロ対策が急務だ!

阿部 等

京浜東北線では刃物事件が発生

さる6月9日には、JR京浜東北線の車内にて、男が刃物を持ち出し、緊急停止して乗客が避難する騒動があった。7月1日の夜にも、JR東海の高山本線の特急車内で刃物を持って意味の分からないことを話している男がおり、緊急停止した。

社会環境がどう変わろうと、鉄道をより安全・安心なものとするには、そういった外部からの撹乱要因にも対処しなければいけない。今回の事件により、悪意を持った鉄道に対する放火やテロへの対処の必要性が浮き彫りとなった。

来年には主要8カ国首脳が会する伊勢志摩サミット、2020年には東京五輪を控え、今回の事件を踏まえ、鉄道テロ対策をどうすべきかの提案をまとめたい。

実を言うと、列車内での焼身自殺や刃物による殺傷事件は、今まで結構な回数が起きている。今回は東海道新幹線の車内という社会的な注目度が非常に高い場所で起きた。それを機として、効果的な鉄道テロ対策の体制を構築したい。

全乗客の荷物検査は費用対効果が低い

今回の事件後、新幹線の利用者数は飛行機より圧倒的に多く、全乗客への荷物検査は現実的でないとの意見が多いが、事実は異なる。

羽田空港の年間乗降客数は約7,000万人(http://airport.tokyu-agc.co.jp/airport_1_1.html)、つまり1日平均20万人弱である。

それに対し、東海道新幹線の1日平均乗車人数は東京9.3万人、新大阪7.2万人(http://bit.ly/1U8u6gM)で、乗降に改めるのに2倍しても飛行機より圧倒的に多くはない。

ただし、羽田空港の保安検査場のあの面積と働いている人数と同じことを、新幹線の東京駅で改めて展開することは現実的でない。実行するならもっと簡易な方式だろう。

中国では、都市間鉄道と都市内地下鉄の全ての駅で荷物検査を実施している。空港ほど大掛かりでなく、それと同じ方式なら新幹線でも実行できるかも知れない。しかし、そのための設備投資と日々の人件費は膨大となる。

また、中国の地下鉄の荷物検査は無視して受けない人が多く、テロ対策の効果は疑問と言わざるを得ない。

費用対効果からして、新幹線の全乗客への荷物検査はお奨めでない。ましてや都市鉄道への導入は得策でない。