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Apple vs Google
ついにクルマ界で覇権の戦い始まる!

アップルのCar Play発表、つづいてグーグルのAndroid Auto正式発表とIT界の二大巨頭がジワジワとクルマ界に近づきつつある。はたしてその先にあるものとは? ITに詳しくない人のためにそのへんの事情をやさしく解説

クルマの世界も日進月歩、次々に新しい技術が発表され、自動車雑誌に携わる我々でさえ追いつかないくらいだけど、ITの世界はそれに輪を掛けるほど慌ただしい。例えば数ヵ月前の技術があっという間に古くなってしまうから驚いてしまう。

今回は、そんなクルマとIT界が融合し、IT界の象徴ともいえるアップルとグーグルがクルマ界でも火花を飛ばし始めたというお話。

まずその前にアップルとグーグルという会社だけど、アップルはかのスティーブジョブズが作ったコンピュータのハードとソフトウエアを売る会社。ハードではMac BookやiPod、iPhoneを作っていて、ソフトウエアではiTunes、iCloudが最近は有名。要するにハードとソフト、両方を売りにしている。

いっぽうグーグルはというと、みなさん知っているようにネットでなにかを調べる時に使う検索エンジンが会社としてのスタートで、ハードウエアを売ることがメインではなく、ソフトウエアを売ることをメインにしている会社(実際には売っているのではなく、無料で提供して広告収入で成り立っている。ハードは一時期グーグルグラスを販売していたものの、いまは頓挫。ロボットなどそのほかのハードウエアもいろいろ開発している)。例えばスマートフォンでいうとサムスンや、ソニーがハードを作り、そこに入れるソフトウエアをグーグルが販売している。以上が2社の成り立ち。

クルマへの対応はやっと始まったばかり

両者のなかでクルマに最初に積極的になったのがグーグルだった。ご存じの自動運転に火を付けた。

その動きに既存の自動車メーカーも危機感を感じたのか、いまやどのメーカーも自動運転の研究を推し進めている。この時点でクルマとの接点はグーグルが一歩リードしていた。

そんななか、クルマとの接点を密かに探っていたのがアップルだった。そして満を持して2014年3月に発表したのがCar Play。

Car PlayとはiPhoneとクルマとの融合。簡単にいうとiPhoneをLightningケーブルでクルマに接続させることで、クルマ側のモニターを使って一部の機能を操作できるようになるシステム。

その使い勝手は別途紹介するのでそちらを読んでほしいけど、世界中でバカ売れしているiPhoneとクルマが合体できるということで多くのクルマメーカーが参加を表明している。日本のカーオーディオメーカー、パイオニアも参加を表明していて、すでに1機種のみだがCar Play対応のモデルを国内でも販売している。

ただクルマのほうは対応が遅れていて、いま日本で買えるCar Play対応のクルマはフェラーリFFだけ。当初メルセデスCクラス、ボルボXC90が'14年中に対応車種を発売すると言っていたものの、いまだ実現ならず。国内メーカーも対応を表明しているが、Car Play対応の市販モデル発売は、もう少し時間がかかるようだ。

こうしたCar Playの動きに反応したグーグルが新たに発表したのがAndroid Autoだ。

これはなにかというと基本的にはアップルのCar Playと似たようなシステムで、こちらはグーグルの主力スマホとなるAndroid搭載スマホとクルマを接続させるもの。初搭載は現代ソナタの予定。

話はちょっとそれるが、Androidとはグーグルがスマートフォン用に開発した基本ソフトウエアの総称。家のパソコンがWindows8で動いている、あるいはマックならOS Xで動いているのと同じように、Androidもハードウエアを動かすための基本ソフトウエアのこと。スマートフォンというメモリ容量の小さいハードのために軽く作られている。

アップルのiPhoneやiPadは、iOSという名前のソフトウエアで動いている。ポイントはどちらのソフトウエアも、ことあるごとにバージョンアップされるということ。Androidは現在5・1、iOSはバージョン8・3が最新バージョンだ。ちなみにAndroidはバージョンごとにわかりやすい名前が付けられていて、最新の5・1は「ロリポップ」という名前だ。ロリコンじゃないよ。

さて、こうしたアップルとグーグルの動きだが、戦略を分析するならクルマ業界における覇権争いのようなものと思っていい。かつてビデオデッキでベータとVHSの戦いがあったけど、それと同じでどちらが覇権を握るかで将来性が変わってくるからだ。はたしてどうなるか、第1ラウンドは始まったばかりで、アップルが一歩リードというところ。

そしてアップルとグーグルがいま狙うのは、Car Play、Android Autoを突破口にクルマ業界に入り込み、将来的にはクルマそのものを動かすソフトウエアとハードの展開を考えていると米国のシンクタンクは分析している。

テスラのモデルS。EV技術もさることな がら、ソフトウエア技術もトップレベル。 国産メーカーもさぞかし驚異だろう。まさ に未来的だ

ただし、そう簡単には事は運ばない。

ご存じのようにクルマの場合はいまもソフトウエアが重要な要素となっている。自動車メーカー自体もそのことがわかっているので、ソフトウエアを開発できる人材をどんどん招き入れている。IT企業へのヘッドハンティングも盛んという。

なので、メーカー自体がオリジナルのソフトウエアを熟成させ、自社のクルマ用に作り上げていく方向に進むことも大いに考えられる。

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