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驚異の燃費40km/ℓオーバーに突入か!? 次期プリウスの基礎技術が変わった
「もっといいクルマづくり」の中核をなす次世代プラットフォームとは?
今年秋登場の4代目プリウス次期プリウスは今年の秋にも登場予定。TNGAによって40㎞/ℓオーバーの燃費に加えて、低重心で気持ちのいいハンドリングも期待できる
これがTNGAに基づいて開発された次期プリウスに採用される次世代プラットフォーム

トヨタは「もっといいクルマづくり」に向けてのTNGAの進捗状況を説明している。そこで、次期プリウスのものと思われる次世代プラットフォームを公開するとともに、各プログラムの具体的な数値目標や達成時期を明確にした。

今年いよいよTNGAを導入した新型車が発売される。発表では「2015年発売予定のFF系ミディアム車」との表現にとどまるが、2015年3月のTNGA取り組み状況の公表内容には、バッテリー性能の向上とともに、「ハイブリッド性能を約15%向上させる」(加藤副社長)と具体的な数値が挙げられていることから、新型プリウスでは、とピーンとくる。

新型プリウスといえば、燃費数値として初のJC08モード40・0km/ℓオーバー確実といわれているだけに興味はつきない。

その裏付けとして、2014年にはSiCパワー半導体を開発したと発表している。家電製品から鉄道車両装置など、あらゆる分野で直流電力を交流電力に変換するインバータが利用されているが、このインバータの周波数制御に必要なのがパワー半導体だ。

自動車では燃料供給や吸気システム、バルブの開閉、点火時期などが電子制御化されて久しいが、これらを動かすためのモーターやアクチュエーターは、このパワー半導体によって制御されている。車載電装機器の制御だけでなく、HVやEVのモーター制御用にもインバータが採用されている。こうしたことからパワー半導体の需要はこの20年で急激に拡大しているのだ。

現在、パワー半導体の主流はシリコンパワー半導体だ。シリコンパワー半導体は本体に電流を流すと電力の一部が熱として失われ(定常損失とスイッチング損失)、電流を流すことをやめてもすぐには電流が完全に切れない(テール電流が発生する)特性がある。

この特性をブレークスルーするためにSiC(炭化ケイ素)や、GaN(窒化ガリウム)などの次世代型パワー半導体が注目されているのだが、2014年にトヨタが発表したSiCパワー半導体はシリコンパワー半導体に比べてこうした電力損失を理論上70~90%削減できると予想されている。

このSiCパワー半導体により将来的にはHVで10%以上の燃費数値向上を目指すとされていたのだが、そうしたことからも前述した「ハイブリッド性能を約15%向上させる」という発表との整合性は高いといえよう。ちなみにSiCパワー半導体はカムリの試作車に搭載され、豊田市内で公道実験が進んでいる。

話がSiCにいってしまったが、今回TNGAの進捗状況がより具体的に示された。

TNGAとは?

2011年3月発表の「トヨタグローバルビジョン」で「もっといいクルマづくり」のために、自動車の作り方を抜本的に変えていこうと導入されたのがTNGA。2013年3月にはTNGA企画部が設置され具体的な5つの柱が発表された。

(1)商品力の向上

クルマの基本となる骨格から変えて、エンジンフードを低くするとともに、低重心化を実現し、誰もが思う「かっこいいデザイン」、誰でも実感できる「良好な視界確保」、わくわくする走りを実現する「運動性能の向上」が織り込まれた。

そのために新しいプラットフォームを開発して2015年に発売する新型車より順次導入するとし、同様にパワートレーンについても新開発するとした。

(2)「もっといいクルマづくり」と開発の効率化

中長期に渡る車両ラインアップを取り決めて、搭載するパワーユニットやその配置、ドライビングポジションなどをトヨタのクルマづくりの設計思想(アーキテクチャー)として定めた。このアーキテクチャーに基づいて、複数車種を同時に開発する「グルーピング開発」を行い、部品やユニットの共用化を進めてコストや開発時間を短縮し、効率化を進める。TNGAにより、従来比で20~30%の開発効率向上をめざすとした。

(3)ものづくり改革

仕入先と調達(部品・ユニットの調達を担当する部門)・生産技術(生産技術を担当する部門)・技術(研究・開発を担当する部門)が一体化した活動を行い、作りやすくシンプルな部品やユニットの構造を実現する。

(4)部品のグローバル標準規格化

部品開発は多数の自動車メーカーがグローバルに採用している標準部品も採用できるようにグローバル標準規格に対応する。

(5)新しい調達戦略

グルーピング開発による部品・ユニットの共用化に対応し、グローバル市場で「まとめ発注」を実施し競争力を強化する。

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