【F1の帝王・フェラーリ(1)】
レーサーを経て、自動車製造会社を設立。社運をかけたマシンでF1優勝

エンツォ・フェラーリ 1953年のF1でこの2年後に事故死するアルベルト・アスカリ(左)と。女性を挟んでエンツォ

かつて、バーレーンでF1観戦をしたことがある。
砂漠の真ん中にあるサーキットは暑さと砂に閉口したけれど、砂塵を巻き上げて疾駆するマシンの姿は圧巻だった。
アラブの族長と思しい富豪は、豪勢きわまるテントを建てて、誰彼かまわず、饗応を尽くしていた。

とはいえ、やはり主役は、フェラーリに決まっている。
数あるF1工房の中でも、圧倒的な存在感を示しつづけており、今もその人気は揺るぎない。真っ赤なボディのフェラーリは、地上に数少ない、生きた伝説である。

フェラーリの創業者、エンツォ・フェラーリは1898年2月18日、イタリア北部の小さな商業都市モデナに生まれた。
ぎりぎりではあるが、19世紀の生まれである。

父のアルフレッド・フェラーリは当時、車両部品を製造する小さな工場を経営していた。
今では世界的ブランドとなっている「フェラーリ」だが、モデナ地域ではごくありふれた姓で、エンツォの家は街に数多く点在するフェラーリ家の一つに過ぎなかった。