読売新聞の大チョンボ
『週刊現代』古賀茂明「官々愕々」より
〔PHOTO〕iStock

安保法案が違憲であることが明白になった。安倍政権にたてつくことに及び腰なマスコミも、今頃になって政権監視の役割を果たしているフリを始めた。

そんな折、マスコミと安倍政権の「癒着」を示す大ニュースを発見した。

ことの発端は、老人などの消費者被害で問題化している訪問販売の規制強化の議論が、政府の消費者委員会特定商取引法専門調査会で始まったことにある。

現在、政府は、「特定商取引法」で、消費者被害が出やすい訪問販売について規制をしている。

その中の重要な柱が、「再勧誘禁止」(同法3条の2)。一度断られたら、再度勧誘してはいけないということだ。違反には行政処分もある。消費者から見れば当然のことだが、実際には、玄関口で断ってもなかなか帰らずにしつこく勧誘したり、一度帰っても再度勧誘に訪れたりということが横行している。その結果、気の弱いお年寄りが狙われて高額な契約を結んでしまうというような被害が出るのだ。

また、悪質なものでなくても、見ず知らずの人に静かなプライバシー空間での生活を邪魔されたくないという人も多い。

消費者庁の調査でも、実に96・2%の人が今後訪問勧誘を受けたくないと答え、過半数が、自らが要請していない訪問販売は禁止して欲しいと答えている。

そうした消費者の声を受けて、消費者庁は、訪問販売お断りを示すステッカー表示のある家への訪問を禁止する制度の導入を検討中だ。

もちろん、関連業界団体は猛反発し、族議員と所管官庁を使って裏で猛烈な反対運動を始めた。そんな業界の一つが新聞業界だ。新聞は販売部数が年々落ち込み、訪問販売で何とか下支えしている。これができなくなると死活問題だから、自民党などに強力な圧力をかけている。

表向きは「活字文化の維持」だが、そのためには迷惑な訪問勧誘も認めろというのだから、あまり分がある話ではない。

そうした焦りがあったのか、業界のドン読売新聞が大ポカを演じた。舞台は6月10日の消費者委員会特定商取引法専門調査会。読売新聞東京本社山口寿一社長が業界の利益を守ろうと失言をした。「断られたけれども(新聞を)とっていただくということも多々あるんですね」。

読売新聞は、断られても粘って勧誘をしている、つまり「再勧誘禁止」違反だととられかねない発言だ。これに気づいた委員達の間に失笑が漏れると、同社長は「笑わないで下さい」と制止し、その後長々と言い訳をした。その全てがビデオで公開されたのだ。

しかも、驚いたことに、同社は、山口俊一消費者担当大臣や河上正二消費者委員会委員長などに謝罪を求める抗議文を送り、その抗議文の写しを菅義偉官房長官にも送ったという。

違法行為ととられる失言を笑われて逆切れし、さらにマスコミの支配者、菅官房長官に言いつけた。「俺には菅がついてるんだぞ」という恫喝である。

前代未聞の大失態。しかし、公開の調査会に来ていた大手新聞はもちろん報道せず。自分達の利権のためにだんまりを決め込んだ。

安倍政権と癒着した日本の大新聞。どこまでも腐っている。

『週刊現代』2015年7月4日号より
 

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