世界経済 中国
安倍政権の「判断ミス」により、21世紀のアジアの盟主は日本から中国へと急速にシフトする!
2014年10月には北京に21ヵ国が集まり、設立覚書に調印した 〔PHOTO〕gettyimages

AIIB不参加は安倍外交で最大の「判断ミス」

6月29日、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立協定の調印式が、北京で行われ、設立時に参加する57ヵ国代表が、一堂に会する。習近平主席が、各国の代表を前に、演説をぶつ予定だ。AIIBは今回の調印式を経て、今年の年末に、北京で正式に設立されることになる。

そこで、クイズを一つ。アジアの国でその席に代表がいない国が、3ヵ国だけある。それは、どの国か?

答えは、日本、ブータン、北朝鮮である。ブータンは、「アジア最後の秘境」を標榜した国であり、そもそもインフラ整備に興味がない。北朝鮮は参加を申請したものの、「デフォルト国家であり、アジアのギリシャになる」と中国が判断し、参加を拒絶した。そして日本は、安倍晋三政権が「AIIBはガバナンスと透明性が保証されていない」として、自ら参加を見送ったのである。

この「不参加」という判断については、日本でも賛否両論あるが、声としては「賛意」のほうがやや大きい気がする。何と言っても、昨年末に内閣府が発表した世論調査によれば、日本人の83.1%が「反中派」なのだから。

だが私は、AIIBへの不参加は、安倍外交2年半で最大の「判断ミス」であり、「日本外交の汚点」として、後世に残るだろうと見ている。島国の日本に暮らしていると、激動のアジアの鼓動がなかなか伝わってこないが、事はそれほどに深刻なのだ。

私は2012年まで3年間、北京で中国ビジネスに携わっていた。その経験からすると、「ガバナンスと透明性が保証された中国ビジネス」など、皆無と言ってよい。

それでも2万3000社もの日系企業が中国へ進出し、1000万人もの中国人を雇用して、日々中国ビジネスにいそしんでいる。日本は全体の貿易額の約2割にもあたる年間3,000億ドル規模の貿易を、中国と行っている。それはどの企業も、世界最大の中国市場を掴むことこそが、自社の生命線だということを認識しているからに他ならない。

国家も企業と同様である。中国の内懐に入っていかないと、自国の発展はないと考えるからこそ、上記3ヵ国を除くアジアのすべての国が、AIIBに参加した。アジアの国々ばかりか、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどヨーロッパ諸国も同様である。

日本も設立の段階でAIIBの内懐に入り、ADB(アジア開発銀行)の半世紀近い経験を活かすべきだった。それによって、経験のない中国に代わって、AIIBの実質的な主導権を取ることも可能だった。だが、日本はそんな最大のチャンスを、自ら放棄してしまった。これほどの「見えない国益の損失」があるだろうか。

AIIBへの参加は、中国を好きとか嫌いとかいうこととは関係ない。1933年に国際連盟を脱退したときのような「日本外交の孤立」の始まりである。当時の日本は意気揚々とした青年のようなものだったが、いまの日本は、よぼよぼの老人国家である。今回の日本の態度を見て、アジアは「老人国家の日本はいよいよ隠居するのだな」と判断したに違いない。

この安倍政権の「判断ミス」によって、21世紀のアジアの盟主が、日本から中国へと急速にシフトしていく気がしてならない。返す返すも日本は、取り返しのつかないミスを犯してしまったものだ。一日本人として、歯がゆい限りである。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら