医療・健康・食
遠藤謙「僕は義足で世界を変える」【前編】
〜MITで学んだ、モノづくりの精神〜

足を失った友人を救いたい。そしてMITに

「すべての人に動く喜びを与える」――そんな目標を掲げ、義肢の開発・研究を進める「Xiborg」の遠藤謙氏。彼はなぜ義足の開発に身を投じることを決めたのか。そして、世界最高峰といわれるMITで、なにを学んだのか。

小川:僕は著書『デジタルは人間を奪うのか』の冒頭で、2013年のボストンマラソンの爆弾テロで左脚を失った社交ダンスのダンサー、エイドリアン・ハスレット=デービスさんの物語について書いています。

MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボのバイオメカトロニクスの研究チームを率いるヒュー・ハー(Hugh Herr)氏のバイオニック義肢によって彼女の左脚は蘇り、素晴らしいダンスを披露できるまでになりました。これはテクノロジーの可能性を示す、印象的な出来事だと思います。

遠藤さんはまさにMITで、ヒュー・ハー氏のメディアラボバイオメカニクスグループにて人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に従事されていたんですよね。

遠藤:MITメディアラボの中にバイオメカトロニクスの研究グループがあり、そこの学生でした。

小川:MITへ入学した経緯と、そこでどのような研究をされていたのかを聞かせてもらえますか。

遠藤:入学したきっかけは、僕は趣味でバスケットボールをやっているんですが、その仲間の一人が骨肉腫になり足を失ったことです。その頃、僕はヒューマノイドロボットの研究をしていて、その中のひとつのテーマに、人間の歩行機能をアシストすることや義足はあったのですが、現実味がなかったんです。それがまさに自分の親しい人が足を失ったことで、一気に自分ごとになりました。

自分は何のために研究をしているのだろう、彼の役に立ちたいと考えているまさにそのときに、ヒュー・ハー教授のことを知り、MITに行こうと思い立ちました。

小川:それを思い立ってから、実際にMITに行くまでにどれくらい時間を要したのですか。

遠藤:2ヵ月くらいです。

小川:随分短期間の準備で実現したのですね。

遠藤:義足の研究は日本でもできると思いますし、正直、特別な準備もしなかったんですね。ただ、メディアラボにすごい先生がいて、そのもとで研究したいんだという衝動だけで実現してしまいました。

小川:まさに衝動のパワーですね。それと、友人を救いたいという純粋な動機の力がすごかったのでしょうね。

遠藤:志願するときに、Statement of Purposeというものを書くんですね。どうしてこの学校に来たいのかについて。そこでまさに、その思いをぶつけました。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら