サッカー
二宮寿朗「フェアプレー精神と審判問題を考える」

“日本サッカーの父”の教え

 2015年は日本サッカー界にとって、メモリアルイヤーである。
 Jリーグの前身、JSL(日本サッカーリーグ)が1965年に誕生して50年。前年の東京オリンピックで日本代表の強化にあたった“日本サッカーの父”デットマール・クラマー氏が国内リーグ創設を提言し、長沼健氏、岡野俊一郎氏ら8人の初代常任運営委員によってJSLはつくられた。68年メキシコ五輪で銅メダルを獲得できたのも、JSLという土台があったからに他ならない。

 古河電工、三菱重工、日立製作所、ヤンマー、東洋工業など8チームでスタートし、80年代に入ると読売クラブや日産自動車など新興チームが台頭していく。92年までの27シーズン、2452試合をこなしてプロ化するJリーグへとバトンタッチしている。

 過日、発足50周年を記念したパーティーが都内で盛大に行なわれた。その冒頭、90歳のクラマー氏からのメッセージが紹介されている。

 67年6月3日、クラマー氏は創設3年目に入ったJSLの試合に招待され、花束と記念のペナントを受け取ったという。そしてJSL総務主事を務めた西村章一氏から「あなたのおかげで日本サッカーリーグができました」と言われたエピソードを披露し、「このときほど誇らしい思いを味わったことがありません」とつづっている。このとき1万人の観衆を前に語ったことを、祝辞の締めくくりとした。

「重要な試合に勝つことやゴールすることだけが大切に思われがちです。しかし、そこにフェアプレーの精神やサッカーを通じた友情は必要不可欠です。私たちが目指すべきは11人の仲間でフェアプレーを追求し、勝利することなのです」

 フェアプレーの精神。
 日本サッカー協会(JFA)は、フェアプレーを4要素で定義している。
1・ルールを正確に理解し、守る 
2・ルールの精神(安全、公平、喜び)
※以下、JFAの補足。「ルールは自分も他人もケガをしないで安全にプレーできること、両チーム、選手に公平であること、みんなが楽しくプレーできることを意図して作られているのである」
3・レフェリーに敬意を払う
4・相手に敬意を払う

 ルールのなかで両チームが勝利のために敬意を払いながら全力を尽くしてプレーする。それが“クラマーの教え”とも言えるだろう。