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東芝「不適切会計」事件の真相
「これから逮捕者が出る……」

田中社長は会見で頭を下げ、「深くお詫び申し上げる」と語った〔PHOTO〕gettyimages

巨大企業を揺るがす一大不祥事。当初はすぐに鎮静化すると思われたが、次々と明らかになる新事実に騒動は拡大するばかりだ。真相を追うと、問題の根は深く、経営の根幹に突き刺さっていた。

「内通」から始まった

時々の経営トップが自らのビジョンを強烈に打ち出し、海外の大型M&Aなども果敢に仕掛ける野武士集団。

巨大企業ながら事業再編や選択と集中を実行するスピード感とダイナミズムは、ライバルの日立製作所とは雲泥の差。

個人や所属部門の業績次第でボーナスが大きく変動する実力主義が浸透し、我こそはという腕自慢が競い合っている。

サムスンなど韓国勢を相手に互角の戦いを挑める数少ない日本のエレクトロニクスメーカー……。

東芝という会社のイメージを業界関係者に挙げてもらうと、こんな答えが返ってくる。ただし、いずれも、「かつては」という留保付きで。

ではいまはどうなのかと聞き返すと、様子が大きく変わる。

顔が浮かばないような経営陣が、失敗をしない無難な経営につとめるつまらない会社。

上司の顔色をうかがう「ヒラメ社員」が増えて、なぜこの人が、という人物が昇進するようになった。

経営のスピード感もダイナミズムもライバルたちの後塵を拝する出遅れ企業……。

キラキラと輝いていた会社が、気づけば腐臭を放つような「ダメ会社」に堕ちている。経営史をひも解けば、そうした事例はいくらでも見つかる。

きっかけはほんの些細なものでも、大きく膨らんだ風船が一刺しで急速に萎んでいくように、会社という生き物は瞬間的にその形を変えてしまう。一度その罠にはまった会社の末路は、往々にして哀れなものだ。

電機業界の雄として名を馳せていた東芝がいま、その「失敗の経営史」に名を連ねようとしている。500億円以上という巨額の不適切な会計処理が発覚、創業140年で最大の危機に直面しているのである。

しかも、背景には東芝の根幹を揺るがす重大問題が横たわっており、単なる会計問題では済みそうにもないから、ただ事とはいえない。

その問題については後述するとして、まずは不適切会計問題の全舞台裏を明かそう。

発端は「内通」だった。

「証券取引等監視委員会に東芝関係者が内部通報したのです。これがきっかけとなり、東芝は4月3日にインフラ関連事業での会計処理に問題があった可能性があり、特別委員会を設置して調べると発表した。

しかし、特別委員会が調査をしてみると、当初想定していた案件以外にも調査が必要な事案が判明。5月8日には、業績予想を出せない状況で期末の配当を無配とする苦渋の決断を迫られた。

同時に、第三者委員会を設置してさらに調査を拡大せざるを得ない一大事に発展していきました」(監視委関係者)

一部事業の些細な会計問題で済むはずだったのが、ここから一気に会社全体を揺るがす騒動へとエスカレートしていく。

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