企業・経営
これは「産業再生の教科書」だ!
三菱東京UFJ銀行を辞めた二人は
大阪のどん底企業をこうして復活させた

産業再生のお手本

三菱東京UFJ銀行出身の若手経営者が、民事再生を申請したメーカーを企業再生して成長軌道に乗せたユニークな会社がある。電子部品であるプリント基板メーカーの「サトーセン」(本社・大阪市西成区)だ。そのプロセスからは、「得意技」とそれを使いこなす経営力があれば、中小企業でも再生は可能であることが分かる。産業再生のお手本とも言える会社だ。

見事に復活したサトーセン

「サトーセン」は1930(昭和5)年に創業、戦後は金属加工やメッキの会社として伸び、1973(昭和48)年頃からプリント基板の生産を本格化させた。プリント基板事業はインベーダーゲーム機やファミコン向け、更には光通信向けを製造したことで、社業の屋台骨を支えるまでに至った。

ところが、約15年前に多額の資金を投じて中国広東省内に国内工場の3倍以上の生産能力を持つ大規模工場を建設したものの、過剰設備に陥り、投資を回収できないまま売却する羽目に。その後、試作大手のアークの傘下に入るが、アーク自体の経営が厳しくなったうえ、リーマンショックなどの影響で売り上げが激減。東日本大震災が引き金を引く形となり、2011年3月30日に民事再生を申請した。

再生計画では、メッキ事業を売却し、プリント基板専業で生き残りを図ることになった。再生期間は当初3年を目途としたが、1年半後の2013年10月には計画を達成し終了。元々、プリント基板を中心とする電子部品事業は競争力が高く、優良顧客が離れず取引を続けてくれたことも回復を早めた。

サトーセンは、薄くて小さな基板、高放熱や複雑な加工が必要な基盤など特殊技術が必要な「ハイエンド商品」を得意としており、さらにスマートフォンのカメラ関連の基板などの受注によって業績を拡大させている。2015年3月期決算では2年前の2倍の30億円の売上高を計上し、黒字も確保している。