地方消滅は回避できるのか【前編】
「地方では、女性の学歴が高くなると、地域での居場所がなくなってしまいます」
白河桃子×増田寛也対談

[左]増田寛也さん(日本創成会議座長) [右]白河桃子さん(少子化ジャーナリスト)

地方消滅回避の鍵は「女性の雇用」

白河: 増田レポートの「896の自治体が消滅しかねない」という提言は本当に衝撃的でした。そこで今日は消滅自治体の今後を左右する、女性に関する問題をお聞きしたいと思います。

増田レポートで「20代、30代の女性の流出が、自治体の消滅につながる」という視点を見いだされたところが、本当に画期的だと思います。私のテーマは少子化ですが、私の考える解決策は常に女性の視点からの発想なんです。

いくら一億人の人口を維持せよと言われても、国のために子どもを産みたいという女性はいません。どうしたら自分から産みたいという気持ちになるのか、また産みたいと思ったとき、その阻害要因になるのは何か、その阻害要因をなるべく排除することこそ、少子化対策だと思ってきました。

私の結論は、「安定した、育児と両立可能な仕事がないと、女性は子どもを産もうという気にはならない」ということです。有識者委員を務めさせていただいた少子化大綱の策定のための検討会でも、「女性のほうが経済的困難を感じ、安定した雇用や生活基盤を確保してからの結婚・出産を希望している」という報告がなされました。

少子化社会対策大綱の委員会と同時に「まち・ひと・しごと創生本部」でも、さまざまな「地方創生」の施策を検討されていて、もちろん少子化対策も入っています。そこでひとつ気になったのは、地方の安定した雇用が重要と強調されていましたが、どうしても男性の雇用が先になってしまうのではないか、ということです。男性だけでなく、女性の雇用の重要性というのは、「まち・ひと・しごと」のほうでは、どのように認識されているのでしょうか?

増田: 「まち・ひと・しごと」では、公式な会議の他に分科会や内部的な打ち合わせをやっていて、女性の働く場をどうしていくか、働く場だけでなく女性の社会的なポジションはどうあるべきかという議論もなされています。その答えがきちんと出ているわけではないのですが、とても重要だという認識は、関係者の間では共有されていると思います。

私自身、最初の「地方消滅」のレポートから、女性の仕事の重要性は認識しています。岩手で12年間知事をやっていたから、実感があるんです。地元の女性のみなさん方が高校から大学へ行かれて、学歴が高くなるにつれて、女性の地域での居場所がなくなる、というか、それを生かす場がなくなるんです。

白河: たしかにそうですね。私も地方を回って実感しています。求人誌などを見ると非正規雇用ばかりに見えます。

増田: もちろん女性がよりよい教育を受け高学歴になるのは当然のことなのですが、そういう人たちの知識や経歴を生かす場がなかなか県内にはない、という残念な状況があります。

私が『地方消滅 東京一極集中が招く人口消滅』(中公新書)で言っていることは二つです。ひとつは、この女性を生かす場が地方にないという現状をどうしていくかということ。もうひとつは、そもそも子どもを産む、ということが少なくなってきた、あるいは難しい社会になってきたという問題です。

両者は密接に絡んでいて、何らかの対策を講じなければいけない。特に20代30代の女性の問題は火急の対策が必要でしょう。その女性たちの少子化対策については、これまでも議論されてきたわけですが、それだけではすまない。雇用、活躍、働き方などさまざまな部分での対策が必要です。

白河: 確かに。女性の活躍と出生率は正の相関があります。つまり女性が活躍する社会ほど、出生率も高いんです。この二つの問題をやっていかなければ少子化も解消しないでしょうね。

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