雑誌
「ソニー経営陣に告ぐ!
君たちは恥ずかしくないか」
~元副会長・伊庭保氏が独占告白~

6/23 株主総会を前に「建白書」を提出
〔PHOTO〕gettyimages

取材・構成 清武英利(ジャーナリスト)

かつて日本人の多くが、製品だけでなく「技術者の楽園」という企業理念に技術立国ニッポンの理想を重ねた、ソニー。経営改革の名のもとソニーの魂が失われゆくなか、待ったと声をあげた男がいた。

黙っていられない

今年1月以来、ソニーの平井一夫社長や取締役のもとに、現経営陣の責任を厳しく追及した意見書や質問状が、たてつづけに届けられている。それは経営刷新、なかでもエレクトロニクス部門の復活を迫る〝建白書〟だ。直近の6月11日付の質問状を含め、すでに4通、A4判で計82ページに及び、「全取締役・経営陣は再任候補たりえない」という言及もある。

まとめたのは、ソニーの初代最高財務責任者(CFO)、伊庭保・元取締役副会長(79歳)だ。

凋落著しいソニーは革新的な商品を送り出すことができないまま、この17年間で都合6度、8万人の削減を掲げたリストラ路線を取ってきた。

それだけに提言は、多くのOBたちの支持を集めている。4月16日には、伊庭氏はPlayStationの生みの親である久夛良木健・元副社長やCTO(最高技術責任者)だった森尾稔・元副社長ら計4人の有力OBとともにソニー本社に出向き、現経営陣に長期的視点に立った再生を強く求めた。

これに対し、リストラ路線へと舵を取った出井伸之・元会長は「株主総会前にメディアに意見出す事止めましょう!」と反乱のOBたちを牽制し、社員やOBの間でも論争になっている。

迷えるソニーは一体どこに行くのだろうか。6月23日に迫った株主総会を前に、批判の急先鋒である伊庭・元副会長に、その真意と再建へのビジョンを聞いた。

—前代未聞の責任追及です。なぜいま。

「ソニーの株価はずっと低迷していました。プレステ以来、ソニーらしいイノベーションもない。どうもソニーはおかしいぞと感じ、昨年2月から16ヵ月かけて経営分析をし、後輩たちに内情を聞きました。

すると浮かび上がってきた一番の問題が、現経営陣の在り方だったのです。技術を標榜するソニーなのに、12人の取締役の中に技術系はひとりもいない。社外取締役が9人を占め、生え抜きの社内取締役が平井社長と吉田憲一郎副社長の2人しかいないのもおかしい。

以前は、取締役CTOが存在し、それがエンジニアの大きな目標にもなっていた。だから、まず今年1月に社長や取締役会らに『最適な経営機構を求めて、みんなで助けよう!ソニー』というタイトルの意見書を出したのです」

—最も訴えたかったことは。

「一つは、エレクトロニクス事業について専門知識と情報を持ち、ソニースピリットを体現した人材を取締役に選任させることです。その抜擢によって、取締役会の機能強化と活性化を図ることが狙いです。もう一つは、この新取締役会が生まれるまで、エレクトロニクス事業の専門家による助言機関(諮問委員会)を設けることです。

社外取締役についてもまず、ソニーを心から愛しているという人を集めるべきです。ソニーをどれだけ愛しているかということが、ソニーの取締役となる要件でなくてはいけないと思います。

具体的には、少なくともソニーの製品のファンであってくれること。アップル創業者であるスティーブ・ジョブズも似たようなことを言っているのです。社外取締役候補の選定をコンサルタントに頼っている現状で、そのことがどこまで問われているのか、大いに疑問です」

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