【有料会員限定記事】次世代のコングロマリットが育つカギは政府からの支援にあり!
リチャードブランソンが説く!政府や大企業などさまざまな支援なしに起業家は育たない
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史上もっとも才能あふれる起業家たちの世代が、いま飛躍の時を待っています。世界の大問題を解決し、現状を打破して力強いビジネスを築いていける彼ら起業家が、目標の達成することを夢見て、いま満を持しているということに、私は何の疑いも持ちません。

しかし、彼らの才能を開花させるには、友人や家族、また経験のある起業家たちからの支援だけでなく、政府からの支援や指導も必要です。

私がヴァージンドットコムにこの件についてブログに投稿したところ、読者の1人であるピーター・ウッドランドがこうコメントしました。

<多くの才能あふれる人々が、もし失敗したらセーフティーネットはない、という理由から飛び立てずにいます。ささいなものであれ、それを失う怖れからマンネリ人生を続けている、まさに天才としか言いようがない人たちを個人的にも知っています>

このコメントは的を射ており、本当に多くの才能のある若者が、支援態勢に不十分を感じ起業を断念しています。将来有望な起業家がこの種のジレンマに陥っているという事実はまったく残念なことです。

私は、多くの時間を割いて旅をし、世界中の催しに出席して若い起業家と話し合ってきました。よく、ヴァージンのようなブランドを起ち上げるためにはどうすればよいのか、という話になります。私たちヴァージンは、組織の形やさまざまな分野に事業展開する力においては独自性があると思いますが、ヴァージンに次ぐ世界ブランドの創業者がこの聴衆のなかからきっと出てくるはずだと信じています。

私は、人々の暮らしに良い変化を生みだすことのできる輝くアイデアの持ち主に対して、その実現のために自分の時間を真剣に集中させたほうがいいと常に励ましています。

しかしそれがうまくいかなければ、新進の起業家には借金漬けや窮乏のうちに何年も過ごさなければならないというリスクがあり、起業への一歩を思いきって踏み出せない、というのも当然です。

まさにこの時点で政府からの支援が不可欠なのです。活気あふれる起業家たちのコミュニティが経済に与えるインパクトの価値を金額に換算することはできません。新事業が起ち上がれば雇用が生まれ地元は活性化します。これはシリコン・バレーやロンドンのシリコン・ラウンドアバウトのようなビジネスハブを見れば明らかです。しかしもっと小規模な例では、イギリスのバーミンガムやマンチェスター、リーズでも同じことが起こっていて、その刺激的な起業環境が素晴らしい新会社や新開発、店舗、レストランを生みだしています。

これらのエリアが繁栄している理由のひとつは、英国政府のスタートアップ融資計画によるもので、現在までに2万7000の新会社に総額1億4000万ポンド(266億円)以上の資金を貸し与えています。多くの優れたアイデアがそうであるように、この計画も最初は小規模でしたが急成長してきたのです。この計画のパートナーとして、ヴァージン・スタートアップはこれまでに、約600人の起業家たちに融資とメンターシップのサービスを提供しています。

融資とメンターシップの提供は素晴らしい出発点ですが、政府ができることはほかにもあります。支援のもうひとつの方法は、地元の小企業との業務契約を増やすことです。仮に政府と大企業がスタートアップを財政支出で支援する政策をとるなら、起業家にとっては素晴らしいスタートラインとなります。

ほか、政府が簡単にできる施策は、自らが起業家精神への関心と熱意を生み出すイベントの発起人となり、新事業に投資しようとする人々を援助することです。これにはいろいろな形があります。例えば、私たちのヴァージンディスラプター・シリーズがやっているようにディベートを通じて議論を刺激したり、ヴァージンメディアビジネスが「Pitch to Rich」コンテストでやっているように、コンペで新しいスタートアップのアイデアをプロモートしてあげたりする方法です。

次のステップは、店舗や共同使用のオフィスを提供することが挙げられます。それが手頃な市街地にあり、交通の便や連絡が良ければ新事業にとっては大きな助けとなります。

スタートアップはまた、新しい市場に参入する必要があります。この相互に連結した時代には、政府は貿易使節団を組織したり、海外企業と新しい提携関係を築くことを優先事項とし、一方では、経験が浅い起業家たちがそこに参加できるチャンスを提供しなければなりません。

彼らはそこから貴重な専門知識を獲得し、新しいスキルを学び、また海外での新事業展開へと進むでしょう。結果は非常に生産的なものです。旅行中にさまざまなアイデアや文化に触れることから、私は今も大いに学んでいます。政府はこうした試みをできるだけ助成すべきでしょう。

もちろんいくら政府がこういったことを実行しても、関係者の誰もがよく知らないということではうまくいきません。ですから役人はそういったサービスを周知徹底し、新進の企業家が一歩踏み出すにはどこへ行き、何をやるべきかよく認識するようににしなければなりません。そうなれば、おそらく上述のピーターの知人が起業を心配しすぎるようなケースはかなり減り、起業家が必要な支援を得やすい旺盛な経済環境や起業家のコミュニティの数も増えるしょう。世界中で次世代のヴァージンブランドが浮上してくる場所はそこなのです。

(翻訳/オフィス松村)

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