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持ち家と賃貸、どちらが「得」か?この難題に、ひとつの答えを出そう

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自宅の住居に関して、「持ち家か、賃貸か」は雑誌などで頻繁に取り上げられるテーマだ。過去にあるテレビ番組がこのテーマを取り上げることになり、たまたま筆者は「賃貸派」側に立ったディベートへの参加を求められることになった。

率直にいって、筆者の側は、経済的に著しく損なディベートへの参加となる。テレビで不動産を買う方が得だと論じると、不動産会社や金融機関が今後開催するセミナーの講師などに呼ばれる可能性が大きい。評論家にとって、講演こそが割りのいい収入源だ。

しかし、「不動産を買っても得にならない」と論じる筆者の側は、不動産会社からも銀行などの金融機関からも講師として不人気だろう。もっとも、もともと彼らには不人気なので、実害は小さいが。

今回は、このディベートに臨むにあたって、主に賃貸派の側から見た不動産について論点をメモしてみたい。

いきなり日和るようで恐縮だが、「持ち家か、賃貸か」は一概には決められない。主として、家賃と不動産価格との間の関係で決まる。不動産価格が高すぎるなら賃貸がいいし、不動産価格が十分に安い時は持ち家がいい。

不動産価格の高低の判断基準は、「自分が払うはずの家賃も含めて収益と見なした時に、リスクに見合うリターンがあるかどうか」だ。

筆者は不動産の専門家ではないので、昨今の不動産事情の参考書として沖有人『2018年までのマンション戦略バイブル』(朝日新聞出版社 2015年1月刊)を参照した。豊富なデータに基づいて不動産事情が的確に紹介されている良著で、不動産に関心のある方には一読をお勧めする。経済の見方についても筆者と一致点が多い。

だが、本書はマンションを買うべきだと推奨し、筆者は、特に普通の人は買わない方がいいと考えた。結論は正反対となった。

なぜ正反対の結論がでるのか

沖氏は、東京都心の好立地にある主にタワーマンションを購入して自宅として住むことを勧めておられる。

主な理由は、アベノミクスによる金融緩和、外国人のマンション需要、相続へのマンション利用に伴う特需などだ。また、見かけの家賃利回りに惹かれて郊外のマンションを買ったり、今後地価の下落が予想される郊外の一戸建てなどは買わない方がいいと論じている。

同書によると、収益還元法的な不動産価格評価が普及した結果、家賃と不動産価格の間の関係がかつてよりもはっきりして、東京の郊外のマンションの家賃利回りで5%くらい、都心の人気物件では3~4%くらいだという。

問題は、この不動産価格が「買い」かどうかの判断だ。

仮に、郊外の物件は価格下落の損が発生するとしても、都心の人気物件は値下がりせずに転売できると考えてみよう。3~4%は好利回りか。

もちろん、事後的に結果がそうなれば現在の長期金利(0.5%程度)から見ても大いに得なのだが、意思決定の段階では、この利回りは不動産の投資リスクを負っての期待リターンだ。

では、不動産のリスクはどのくらいあるのだろうか。 

マンション相場のリスクを推測するために、優良マンションへの投資が多いと思われるJ-REIT、日本アコモデーション投資法人の取引価格のリスクを過去5年分の月末価格から計算してみた。結果は、約19%(リターンの年率標準偏差)であり、日経平均のリスクといい勝負だ。

一方、同法人は借り入れを行ってレバレッジを用いた投資を行っており自己資本比率は約45%だという。レバレッジ1倍のマンション価値のリスクは9%くらいだろう。

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