【第89回】「シャドーレート」からみた日米の出口政策のタイミング
〔PHOTO〕gettyimages

日銀が出口政策を検討するのは早計過ぎる

最近の米国経済指標が比較的強い数字であることから、FRBの利上げが9月に実施されるのではないかという見方が再び強まりつつある。また、日本も、消費税率引き上げによる押し上げ要因が剥落した4月のコアCPI上昇率が前年比+0.3%と再浮上する兆候がみえてきた。そのため、年内の早期追加緩和論が後退するだけではなく、「そろそろ出口政策を検討すべし」との極端な見方も出てきている。

OECDが推定する日本のNAIRU(インフレを加速しない再訂水準の失業率)が4.1%に対し、直近(4月)の完全失業率は3.3%であることから、日本ではすでに「潜在的」にインフレ圧力が高まっているとの見方が一部からでてきている。これが適切な見方ではない点については、前回のコラム(第88回「需給ギャップでインフレ率を測ることができるのか」)で言及した。筆者は、日銀が出口政策を検討するのはまだ早計過ぎると考えている。

歴史的に、リフレ政策から通常の政策へスムーズに移行した事例は極めて少ない(筆者は、昭和恐慌からの脱出局面で高橋是清蔵相(当時)が主導した経済政策パッケージは唯一の成功例ではないかと考えているが、ここでは言及しない)。そのため、出口政策成功の条件を考えるのは、リフレ政策の有効性やその政策メニューを提示するよりもはるかに困難な作業である。

本来であれば、「需給ギャップ」の動向などから判断すべきだと考えるが、それを計測するための前提となる「潜在成長率」が、論者によってかなり恣意的に設定可能であるため、残念ながらそれだけで判断するのは難しいのではないか。そのため、さまざまな切り口からの考察が必要であろう。そこで、今回は、「シャドーレート」という観点から、日米の出口政策について考えてみたい。

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