週刊現代
腹を括った憲法学者たちの〝叛乱〟
〜権力者は今、ネス湖でネッシーを探している〜

魚住昭の誌上デモ「わき道をゆく」連載第131回
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「記者はおのれを権力と対置させなければならない」

戦後の日本を代表するジャーナリストは? と訊かれたら、私は即座に3人の名を挙げる。

読売社会部出身でノンフィクション作家になった本田靖春さん。大阪読売社会部の「黒田軍団」を率いた黒田清さん。朝日の天声人語で洛陽の紙価を高めた深代惇郎さんである。

そのうちの一人である本田さんは生前こう語っていた。

「記者はおのれを権力と対置させなければならない。これは鉄則である。権力の側に身をすり寄せていけば、そうでなくとも弱い立場の人びとは、なおのこと隅っこに追いやられる」

いい言葉だなあ。最近とみにそう思う。70年間平和だった日本が戦争に向け舵を切る。その転換点に遭遇した一記者として何ができるか。途方に暮れたらこの言葉を呟いてみる。すると、迷いが吹っ切れる。

たとえ無力であっても、自分が今いる場から異議申し立てをしなければならぬ。後で「あの時、こう言えばよかった」と悔やむことだけはしたくない。

同じ自問自答を繰り返す人が学問の世界にも大勢いるようだ。彼らは学者生命を賭けて政府に物申そうと腹を括ったらしい。4日のインターネット審議中継で憲法審査会の質疑を見て、そう感じた。