『理系のための研究ルールガイド』
上手に付き合い、戦略的に使いこなす
坪田一男=著

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具体例でわかる
「ここまでOK」「これはダメ」

 実験、論文、学会発表、研究費申請など、研究活動にはさまざまなルールが存在する。一方、研究でブレイクスルーを成し遂げるには、ルールを超えた大きな考え方も大切だ。本書では、研究者が知っておくべきルールの基本と、戦略的に使いこなすための方法をホンネで伝授する。


まえがき

 研究とは絶対的におもしろいものだ。知力を尽くして未開の分野を切り開き、誰も知らなかった真実を最初に知ることができる。僕は研究を「知的冒険」と呼んでいるけれど、こんなに興奮する冒険は、きっと他にない。だから僕は多くの人に研究者を目指して欲しいと思っているし、研究者になった人には成功してほしいと心から願っている。

 そのため、僕はこれまでに、『理系のための研究生活ガイド』『理系のための人生設計ガイド』という二冊の本を出版し、研究者として生きるための知識を紹介してきた。けれど、そこでは書き切れなかった大事なことがある。それが、「研究者のルール」だ。最近は研究を取り巻くさまざまな事件が起きているが、ルールがおきざりにされているために大きな問題になっていると強く感じる。

 でも、「ルールを守ろう」なんていう単純なことではない。ルールを思いきり使いこなして、ごきげんな研究生活を送ってほしいと願って書いたのが、この本である。僕にとってはブルーバックスの『理系のための』シリーズの第三作目になる。

 ルールというと細かいことだし、めんどくさいし、本当は取り上げたくない題材なのだけれど、あまりにルールを知らなさすぎたり、ルール違反を恐れて萎縮してしまっている研究者が多いのを見て、あえてこの本を書いた。ルールを超えたような大きな考え方も大事だし、ルールにのっとって細かいところまで注意を払うことも大事なのだ。

 昔から言われていることわざで「神は細部に宿る」というものがある。大きなビジョン、夢なくしては研究者になる資格はないが、しっかりとルールにしたがって細部を詰められてこそ、大きな仕事になる。ここらへんのバランスは難しいが、この本では、なるべくつまらないルール本にならないように、かといってルールを軽視しないように、「ルールを戦略的に使いこなす」という観点から書き下ろした。

 歌舞伎役者の故・中村勘三郎さんは、「型があるから型破り」という言葉を語っておられた。型を知ってこそ、型破りができるという意味だ。歌舞伎の長い歴史の中に育まれたしっかりとした型を百パーセント学んだ上で、あえて型を破ってこそ価値がある。型を知らずに破ることは「かたなし」というそうだ。

 勘三郎さんの言葉を僕はこう解釈している。すなわち、ルールを知りつくしてこそ、ルールぎりぎりまで攻めていくことができ、ブレイクスルーを成し遂げられるのだ、と。

 本書は、研究者になって間もないか、これから研究者を目指すような、研究者の卵といえる方々を主に想定して書いた。しかしすでに中堅の研究者でも意外とルールについて戦略的に使いこなしていない人も多い。なので、ぜひ中堅以降の研究者の方にも読んでほしい。若いキミたちをはじめとしてみんなが、研究者としてのルール、作法をしっかり身につけた上で、ごきげんな研究生活を送れるよう心から願っている。

著者 坪田一男(つぼた・かずお) 
慶應義塾大学医学部教授。医学博士。一九五五年東京都生まれ。一九八〇年、慶應義塾大学医学部卒業。国立栃木病院眼科医長、東京歯科大学教授を経て現職。一九八五年より二年間、アメリカのハーバード大学に留学。専門は角膜移植、屈折矯正手術およびドライアイ。最近は眼科学の視点を基に、研究の軸を抗加齢学や再生医学に広げている。著書に『近視を治す』『理系のための研究生活ガイド』『理系のための人生設計ガイド』(いずれもブルーバックス)ほか多数。
『 理系のための研究ルールガイド 』
上手に付き合い、戦略的に使いこなす

坪田一男=著

発行年月日: 2015/06/20
ページ数: 208
シリーズ通巻番号: B1920

定価:本体  860円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)